憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

責任説が採用する故意の体系的地位は?―司法試験【対話式 論点分析】刑法総論・違法性の意識-4

神渡: 故意の体系的地位については、

・構成要件要素
・責任要素
・構成要件要素+責任要素

と大きく3つあるかと思います。

流相: ここら辺は構成要件の理解とも絡んでとてもややこしい…
 そこまで分析しなくてもいいんじゃないかなぁ…

阪奈: あんたはまたみんなの腰を折るようなことを言って。
 暗記じゃなく理解するのが勉強なんだから、ややこしくても理解する努力をしなさいよ!

流相: ・・・(そんなに怒らんでもいいじゃないか)

玄人: 制限責任説は、故意の成立に

・構成要件該当事実の認識
・違法性阻却事由該当事実不存在の認識

を必要とする考えだった。
とすると、そこから逆算すると制限責任説は故意の体系的地位をどう考えているんだ?

流相: 法律の勉強で逆算って初めて聞いた気がします。
 逆算して良いんですか?

玄人: 問題ない。
 というか少なくとも学説は、自己の体系に基づき一貫して考えているから、結論から逆算して体系を理解するというのは効率的な勉強と言えるだろう。

流相: 分かりました。

玄人: で、制限責任説は故意の体系的地位をどう考えているんだ?

流相: え~と…

神渡: 故意を構成要件要素とのみ考える立場では制限責任説はとりえないです。

玄人: ほう、それはどうして?

神渡: 制限責任説は、故意の成立に、

・構成要件該当事実の認識
・違法性阻却事由該当事実不存在の認識

を必要とする考えです。
 もし、故意を構成要件要素とのみ位置づけたのでしたら、違法性阻却事由該当事実不存在の認識は故意の問題としえないはずです。

玄人: なるほど。
 それはどうしてかな?

神渡: どうして…ですか?
 えっと…

阪奈: 今はあまりない考えかと思いますが、違法性阻却事由を消極的構成要件要素だとして構成要件に位置付ける学説があります。
 この考えからすると、故意を構成要件要素とのみ捉えても故意の成立に上の二つの認識を含めることはできますから、神渡さんが言ったことが論理必然に導かれるというわけではないと思います。

玄人: そうなんだ。
 ここでは、故意の体系的地位の問題に加えて構成要件と違法性の関係も関わって来る。だからややこしいんだ。
 ただ、違法性阻却事由を消極的構成要件要素だとして構成要件に位置付けるという考えは構成要件と違法性阻却事由との原則・例外関係を否定するものとして批判が強い。
 ここではこの考えは無視しておこう。
 そうすると、制限責任説は、

・故意をもっぱら責任要素と捉えるか、
・構成要件要素であると同時に責任要素でもあると考える

2通りの可能性があるわけだ。

流相: (そうなのか)

玄人: では、厳格責任説は?

流相: ここまでくると僕でも分かります。
 厳格責任説では、故意をもっぱら構成要件要素と捉えます。

玄人: そうだな。
 ひとまず、これまでの流れを要約してみよう。
 誰か?

阪奈: まず、故意説と責任説の違いは、

・違法性の意識(の可能性)を故意の要素とするのか(故意説)、
それとも
・違法性の意識の可能性を故意の要素とはせず、責任の要素とするのか(責任説)

にあります。
 制限責任説と厳格責任説の違いは、故意の成立に必要な事実の認識をどう考えるのか?にあります。

・違法性阻却事由不存在の認識を要求するのが制限責任説で、
・違法性阻却事由不存在の認識を不要とするのが厳格責任説

ということになります。

玄人: そういうことになる。
 それを踏まえたうえで、今度は、

・何故故意説は違法性の意識(の可能性)を故意の要素とし、
・責任説は違法性の意識(の可能性)を故意の要素とはせず責任要素とするのか?

そして、
故意説でも、厳格故意説と制限故意説は、

・何故、厳格故意説が違法性の意識を故意の要素とし、
・制限故意説は違法性の意識までは不要で、違法性の意識の可能性で故意を認めるのか?

を検討したいと思う。
さらに、
故意の体系的地位をめぐる学説の争いがなぜ生じているのかも検討できたらなと思う。

---次回へ続く---

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