憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

「意思」から「関係」へのパラダイム転換ー【合意原則】5ー司法試験【対話式 論点分析】

初戸: たしかに、過激かもしれません。
 近代契約法の基本原則である意思主義を修正するのが、「関係的契約理論」ですからね。

流相: そんな過激な理論を導入する必要ってあるんですか?

初戸: 必要があるから導入するんです。
 もちろん、その必要性を認めないという立場もありますから学説は対立するのですが…。

流相: どんな必要性でしょうか?

初戸: 現代的契約現象というものを聞いたことありませんか?

神渡: 聞いたことあります。
 消費者取引とか、約款による取引のことですよね。

初戸: そうです。
 上の2つが現代的契約現象の典型例です。
 当事者の意思に任せていたのでは、経済的弱者の犠牲のもと、経済的強者が独り勝ちするということになりかねませんから、独り勝ちを防ぎ弱者を保護するために、消費者保護の観点から契約を規律していこうというのが消費者取引におけるポイントです。その具体化法が、消費者保護法ですね。
 消費者保護法は第1条で、

…消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ…

と言っています。
 消費者と事業者間の情報の質・量、交渉力格差を是正するというわけです。

阪奈: 当事者の意思を重視する考え方では、その格差を是正する正当化根拠が不十分だというわけですね。

初戸: そうです。
 そもそも近代という時代は、中世まで存在した身分制度を破壊して、市民を個人として国家と対峙させることで生まれたんですね。
 存在するのは、国家と個人で、個人間の身分といった関係も一切捨象しました。
 個人というのは、背が高い・低い、男女、年齢などで具体的に違いがありますが、近代は、具体的な個人から具体性を取り去って残った存在を個人としました。
 要するに、自由意思を持った個人として全ての個人は同じだと法的に擬制したといえます。
 そのような自由意思を持った個人を重視すると消費者保護法を正当化することが難しくなりますね。

阪奈: ですが、消費者を保護する必要性はありますから、ではその正当化をどう説明するのか?ということで、「関係的契約理論」が登場するというわけですね。

初戸: そうです。
 近代が具体的な個人から奪った具体性や関係性を法的世界に取り戻す、ということです。
 個人は自分の意思だけで社会を生きているわけではなく、他者との具体的な関係に拘束されつつ生きているという現実の個人の在り方を法的世界に再び取り込むということですね。

神渡: 「意思」から「関係」へとパラダイム転換があった、ということですね。

初戸: はい、そうです。

流相: …「パラダイム」ってなに?

阪奈: 流相みたいな典型的な文系にはなじみないと思うわ。

神渡: トーマス・クーンという科学哲学者が提唱した科学哲学上の概念で、学部時代に先生から『科学革命の構造』という本を読めと言われて読んだことがあるの。

流相: えっ?
 トーマス君?子供?

神渡: …

初戸: ……

阪奈: はぁ(呆れ顔)
 ギャグなの?面白くないんだけど…。

流相: え~と…
 その人知らない…。

初戸: まぁ、その点は今の議論には関係ないから次へ進みましょう。

---次回へ続く---

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