憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

一部行為全部責任の根拠論【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共同正犯論2

玄人: 「一部行為全部責任原則」の理解が、暗黒の章である「共同正犯論」に一筋の光明を与え、錯綜した「共同正犯論」からの脱出を可能とする!
 狭義の共犯で検討した「共犯の処罰根拠論」と同じだ。
 ということで、何故、「一部行為全部責任」が認められるのか?を検討しよう。
 どういった考え方がある?

流相

・「共同意思主体説」
・「相互利用補充関係説」
・「法益侵害の共同惹起」

流相:大きく、上の3つの考え方があります。

玄人: そうだな。
 「共同意思主体説」はどういう考えだ?

流相: この考えは、共同正犯を、

関与者間の合意によって形成された集団による犯罪とみる(松原芳博「刑法総論」(日本評論社、2013年)349頁)

流相:考え方です。

玄人: この考え方のポイントは?

流相: えっと、個人を離れた団体の責任を認める点です。

阪奈: 正確には、団体を犯罪主体とみながら、責任を負うのは団体の構成員とみるのが、この考え方のポイントです。

玄人: そうだな。
 つまり?

阪奈: つまり、
”犯罪主体”と”責任主体”が分離すると言うことです。

玄人: そうだ。
 この考え方にはどういう批判がある?

流相: 個人責任主義に反する、という批判があります。
 松原先生もこうおっしゃっています。

犯罪主体と責任主体の一致は「責任に応じた刑罰」を要求する責任主義の最低限の要請であって、団体の責任を個人に負わせることはこの要請に反する。(松原・前掲書349頁)

流相:ということです。

玄人: だから、この考え方の支持者は現在ではほとんどいないんだ。
 ということで、次にいこう!
 次は、「相互利用補充関係説」だ。
 現在は、この考え方と「法益侵害の共同惹起説」が対立している状況といえるだろう。
 「相互利用補充関係説」はどういう考え方だ?

神渡: はい。

共同実行行為が、相互的に利用・補充し合う依存協力関係のもとにその犯罪を惹起し、法益の侵害(危険)を生じさせたこと(大塚仁「刑法概説(総論)[第三版]」(有斐閣、1997年)276頁)

神渡:に、「一部行為全部責任」の根拠を求める考え方です。

玄人: この考え方を端的に言うとどうなる?

流相: ”相互利用補充”

玄人: 足りない。
 何を相互利用補充する?

流相: ”実行行為”の相互利用補充ですか?

玄人: ”一部実行全部責任”であればそうなる。
 一般的には、”一部行為全部責任”だから、”行為”の相互利用補充ということになる。
 その上で、この考え方の肝はなんだと思う?

流相: う~ん・・・

玄人: さっき神渡さんが引用した大塚先生の言によると、

共同実行行為

玄人:となっている。
 つまり?

阪奈: 「実行行為を共同した」かどうかですか?

玄人: そう!
 この考え方は、実行行為を共同したのかどうかを重視する点にポイントがあるんだ。
 互いに、行為を利用し補充し合うことで、実行行為を共同したといえるのか?
 もっといえば、複数人で1つの実行行為をしたといえるかどうかを問うのがこの「相互利用補充関係説」なんだ。
 では、何故、この考え方は、複数人で1つの実行行為をしたといえるかどうかを問うのだろうか?

流相: え~~?
 何故といわれましても・・・

玄人: ここを理解しないと暗黒の章・共同正犯から抜け出せないが?
 ヒントは、正犯の定義にある。

---次回へ続く---

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