憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

(衰弱していた)Aを甲方から連れ出すために甲方に立ち入る行為と正当防衛の成否【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その26-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

神渡: 判例の見解をとって監護権者甲の意思を監護権者乙より優先するとした場合、乙のA連れ去り行為に未成年者略取誘拐罪は成立するということなのですね。
 でも、Aの世話をしないでAを殺そうとしていた甲の監護権を乙の監護権よりも優先させることはおかしい気がするんですが・・・

流相: ん?

阪奈: あ~、監護権者が複数存在しており、かつ、彼らの意思が不一致である場合に、どの意思を優先させるべきかという問題があるということね?

流相: そんな論点は聞いたことがないなぁ・・・

阪奈: でも、神渡さんが言う問題をクリアしないと乙のA連れ去り行為に未成年者略取誘拐罪が成立するかは判断できないわね。

神渡: 監護権というのは、未成年の子の養育に関する権利だと思います。
 ということは、この監護権は未成年者の利益のために行使されるべきといえます。
 ですから未成年者の生命の危険を招いている監護権者の意思は優先させるべきではない、と思いますが・・・

流相: たしかにね。

阪奈: そうね。それがいいわね。
 ということは、結局乙のA連れ去り行為は、優先されるべき監護権者乙の行為だから未成年者略取誘拐罪は成立しない、ということね。

流相: そうなりそうだね。
 乙には住居侵入罪が成立するだけと・・・

神渡: あの、またごめんなさい。
 乙が甲方に立ち入った行為に本当に住居侵入罪は成立するのでしょうか?

流相: えっ?
 さっき検討したら成立するということになったけど?

神渡: そうなんですけど、乙は結果としてはAを助けるために甲方に入っているのだから正当防衛(刑法36条)が成立するのではないか?という気が・・・

流相: ん?・・・
 たしかに・・・

阪奈: ただ、乙は、Aを甲方から連れ去った後にAがひどく衰弱していることに気がついているから、甲方立入り時にはAを救助する意思はないわね。
 つまり防衛の意思がない、ということね。
 ということは、ここで防衛の意思の要否が論点となるわね。

流相: そういうことになる・・・な。
 防衛の意思必要説で良いだろ?
 乙は、甲方立入り時にはAを虐待から救助する意思はなかったんだから、防衛の意思がなく正当防衛は成立しない、ということで。

阪奈: 防衛の意思については、過去に勉強した(【対話】防衛の意思を巡って)からここでは、必要説か不要説にたって結論を決めるだけでいいわね。答案中には防衛の意思の要否は少しは書く必要があるけどね。
 防衛の意思必要説からは住居侵入罪が成立し、防衛の意思不要説からは住居侵入罪は不成立になるということで。

---次回へ続く---

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