憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

丙の新たな不作為に殺人罪が成立しないか?【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その22-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

玄人: 不作為正犯の犯罪遂行を困難にする(思いとどまらせる)だけの人的関係が不作為正犯との間にあったか、という基準に当てはめてみてくれ。

流相: え~と、どこにそんな事情がありましたっけ?
 ちょっと待ってくださいよ・・・
 あっ、

「このままAがいれば、丙との関係が保てなくなるのではないか。」

流相:と甲は不安になっています。
 また、甲は、

丙が気づいて何か言ってきたら、Aを殺すことは諦めるしかないが、丙が何か言ってくるまではこのままにしていよう。

流相:とも考えています。

玄人: 問題文にはそう書いてあるな。
 でそこからどういう事が分かる?

流相: 甲は丙のことが好きなんだと思います。丙のために自分の子Aを殺害しようとまでしていますから。

玄人: そうだろうな。
 ということは?

流相: ということは、丙の一声で甲はA殺害を諦めたわけですから、不作為正犯甲の犯罪遂行を困難にする(思いとどまらせる)だけの人的関係が甲との間にあった、と言えます。
 なので、丙には、不作為による幇助の作為義務が認められます。

玄人: じゃあ不作為による殺人幇助は成立する?

流相: はい!

阪奈: 一応、丙の不作為が甲の不作為をどう促進したのかについて触れる必要はあると思うわよ。

流相: あぁ、物理的・精神的に促進とかいうやつだ。
 本問ではどちらも肯定されそうだよ。

阪奈: そうかしら?
 丙が甲に何も言わなかったことで、他の誰もAを助けることができない状況が作り出されていたのだから、不作為によるA殺害を物理的に促進したといえるけど、丙は甲に何らかの声かけをしているわけではないから、甲の殺害意図を精神的に幇助したとはいえないはずよ!

流相: そ、そうだった・・・
 でも、物理的に促進したわけだから、丙に殺人罪の幇助が成立するということで。
 あと、丙は7月3日昼過ぎに甲の母親に対して嘘をついてAが衰弱した姿を甲の母親に見せないようにしてA救命の機会を奪っています。
 丙は、7月2日昼前には、このまま甲がAに授乳等をしないとAが確実に死亡することになると思っていたのですから、この嘘は、Aが死亡することを認識しつつ不作為でAを殺害したといえるかもしれません。作為義務の検討が必要だと思います。

神渡: 丙の新たな不作為について殺人罪が成立しないかを検討するわけですね。

阪奈: その必要はあるわ。
 <行為の危険性支配>と<因果経過の支配>への当てはめが必要になるわね。

---次回へ続く---

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