憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

危険が現実化したか?【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その17-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

阪奈: <因果経過の支配>が認められるかの検討ね。

神渡: 甲は、Aに生命の危険が生じた7月2日昼前以降もAに授乳等をまったくしなかったと問題文にあります。
 Aは甲の母乳だけが栄養源ですから、その母乳をAに与えないという不作為を7月2日昼以降も継続したということはA死亡に至る因果経過に他者が介入することを甲が排除していたということだと思います。
 ですので、<因果経過の支配>も認められると思います。

流相: おぉ~!
 以上からすると、<行為の危険性支配>+<因果経過の支配>があるので、排他的支配が認められ、甲に保障人的地位が認められるということになるんだね。

阪奈: そうだと思うわ。

流相: Aはその後、死亡しているから「死」という結果も発生している。
 ということは、次は因果関係の検討だ。
 えっと、因果関係の判断基準はどうしようか?

阪奈: そうねぇ、判例が採用していると言われている「危険の現実化説」でいいんじゃないかしら?

流相: 相当因果関係の折衷説とか客観説が受験生には有名かと思うんだけど・・・

阪奈: まぁ、それは択一用の知識ということで、論文では判例説に乗りましょう!

玄人: 判例で良いんじゃないかな。

流相: じゃ、甲が創り出し支配したA死亡の危険性がA死亡結果に現実化したかを検討すれば良いね。
 どうなるかなぁ?
 A死亡の直接の原因はタクシーに衝突されたことによる脳挫傷だ。
 因果の過程に、他者の過失行為が介在しているので、因果関係が否定されそうだなぁ・・・

阪奈: 他者の過失行為が介在したからといって必ずしも因果関係が否定されるとは限らないわよ!
 「危険の現実化説」からは、行為の危険が結果へと「現実化」したかが問題なの!

神渡: でも、この事案では、A死亡の原因は脳挫傷ということです。
 甲が創り出したA死亡の危険性は、脱水症状や体力消耗による生命の危険でした。その危険は脳挫傷によるA死亡結果に現実化したとはいえないと思うのですが・・・

阪奈: あ~、神渡さん、ごめんごめん。
 甲の不作為がタクシー事故を誘発したとも考えられないから、結論は神渡さんが言うとおりだと私も思うの。
 ただ、流相が他者の過失行為が介在すれば因果関係が否定されそうだと漠然と発言したことを私は問題にしていたのよ。

流相: わ、分かってたよ、僕だって・・・
 ところで、本問では、タクシー事故がなくてもAはいずれにしろ衰弱により1日ないし2日後には確実に死亡していたであろうことが判明していたと問題文にあるよ。
 これって何だろう?
 因果関係の判断で仮定的事情を付け加えるか否かの論点に触れろということ?

阪奈: 大々的に触れる必要はないと思うわ。
 因果関係は、生じた具体的なその結果(脳挫傷によるA死亡結果)との関係で検討するものなんだから。

流相: じゃあ、甲には殺人未遂罪が成立するということだね。

神渡: ですが、まだ検討すべき事が・・・

---次回へ続く---

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