憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

”作為による結果惹起との同価値性”のどこに注目するのか?【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その8-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

玄人:(a)先行行為説、
(b)具体的依存性説、
(c)排他的支配説
の理論的関心がどこにあるかを分析しよう。
 その際のキーワードは、”作為による結果惹起との同価値性(山口厚『刑法総論[第2版]』(有斐閣、平成19年)88頁)”だ!

流相: どういうことですか?

玄人: 不真正不作為犯処罰の一番重要なポイントが”作為による結果惹起との同価値性”だろ?
 だから、そのキーワードを分析していくと(a)(b)(c)説の理論的関心事項が明らかになる、という意味だよ。

流相: そう言われましても・・・
 どうすれば?

玄人: (a)先行行為説は、”作為・・・との同価値性”に注目しているんだよ。

流相: ???

玄人: 作為と不作為の”存在構造上の違い”に注目するのが(a)先行行為説なんだ。

流相: すいません、分かりません。

玄人: 作為の場合、たとえば、甲がナイフで乙を刺す場合を考えてみよう。その結果、失血多量により刺された乙が死亡したとしよう。
 この場合、刺すという甲の作為は、乙死亡の原因力となっていることは明らかだろ?

流相: そうですね。

玄人: じゃ、不作為の場合はどうだろうか?
 たとえば、誰かにナイフで刺されて瀕死の重傷で道端に倒れている丙を、たまたまジョギングしていた甲が見つけたとしよう。しかし、甲は急いでいたので丙を助けることなく(不救助)そのまま通り過ぎた、そしたら丙は死亡してしまった、と。
 この場合、甲は丙を刺したわけではないから甲の不救助は、丙死亡結果に原因力は有していないだろ?

流相: そうですね。
 丙死亡結果に原因力を有しているのは、丙をナイフで刺した人ですからね。

玄人: 不作為は、作為とは違って結果に対して”原因力”を有していないという存在構造を持っているんだ。

流相: あぁ~、なるほど!
 その存在構造上の違いを埋めるために、つまり、結果への原因力を認めるために、(a)先行行為説は、法益侵害に向かう因果の流れを自ら設定したこと(先行行為)を要求する、という訳ですね?

玄人: そういうことなんだ!

神渡: なんだか哲学的ですね。

玄人: そうだな。目的的行為論に親和性がある考え方だ。

流相: あぁ~、その昔、刑法学会にすごい影響を与えたと言われる考え方ですね。

玄人: まぁね。
 今でも、その支持者がいる。
 まぁ、でも今はその内容には入らないでおこう。
 つまり、この(a)先行行為説は、行為の存在構造に着目して、原因力を欠く不作為に原因力を補うことで、原因力を有する作為と同じ存在構造にすることを意図しているんだ。
 ”作為・・・との同価値性”というのは、不作為を作為と存在構造において同じにすること、ということを意味するんだ。

流相: へぇ~。

神渡: そうだったんですね!

流相: では、(b)はどうなるんですかね?

---次回へ続く---

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