憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

『個別的法効果~公立保育園廃止条例の取消訴訟(最判平成21・11・26)~』 【対話】司法試験論点分析◇行政法過去問講義-その12-◇平成25年度<第2問>

富公:(3)「個別的」法効果であること
で問題となることは何でしょうか?
つまり、(3)で排除される国家の行為はどういったものでしょうか?

神渡:国民一般に法効果を及ぼす国家の行為が排除されると思います。

富公:具体的には?

流相:法律とか?

富公:そうですね。
他には?

阪奈:地方公共団体が制定する“条例”とかです。

富公:そうです。
条例は、国民(ここでは住民)に一般的に法効果を及ぼす国家の行為ですから、(3)を充たさないことになりますね。
もっとも、条例に「処分」性を認めた判例がありますね。

阪奈:「公立保育園廃止条例の取消訴訟」に関する最高裁判所平成21年11月26日判決です。

富公:条例は、一般的抽象的権利義務を定める法規範ですが、最高裁はなぜ、この条例に「処分」性を肯定したのでしょうか?

阪奈:判決ではこう言っています。
当該条例は、

保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得る

阪奈:と判示しました。

富公:そうですね。
ここで私が言いたいのは、条例だから当然に一般的行為であり、よって、(3)「個別的」法効果が否定されるという形式的思考ではダメだということです。

一般的行為に当たるかどうかは行為の形式ではなく実質によって判断される。塩野宏『行政法Ⅱ[第五版]行政救済法』(有斐閣、2010年)107ページ

富公:ということに注意して欲しいのです。
この判例で特に重要なのは、

当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う

富公:という部分です。
条例であっても、当該条例は、“特定の国民の法的地位を奪う”、それ故に「処分」に該当すると判断したのです。
まさに、条例が個別的法効果を持つことを指摘したわけです。

あと、この判例は、当該保育所において保育を受けることを期待しうる法的地位があることを論証していますね。
簡単に言うと、
児童福祉法24条1項~3項の趣旨が、

その保育所の受入れ能力がある限り,希望どおりの入所を図らなければならないこととして,保護者の選択を制度上保障したものと解される

富公:こと、そして、

保育所への入所承諾の際に,保育の実施期間が指定されることになっている。

富公:ことからすると、

保育所の利用関係は,保護者の選択に基づき,保育所及び保育の実施期間を定めて設定されるものであり,保育の実施の解除がされない限り(同法33条の4参照),保育の実施期間が満了するまで継続するものである。

富公:よって、
保育の実施期間が満了するまでの間は

当該保育所における保育を受けることを期待し得る法的地位を有する

富公:というように、児童福祉法から法的地位の存在、つまり、この講義で言うところの(1)「法効果」の存在を論証しています。
この論証の仕方はしっかりとまねをして下さい。重要ですよ。

「処分」性該当性判断基準として、最後に「ファイナル性」を検討しましょう。

流相:「ファイナル性」?
聞いたことあるような・・・

---次回へ続く---

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