憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】司法試験刑法総論・原因において自由な行為の分析(4)

玄人 :では“構成要件モデル”にいこう。
どういう考え方がある?

流相 :実行行為と実行の着手を同視する説(便宜上、同視説とします)と分離させる説(便宜上、分離説とします)があります。

玄人 :そうだね。
これらは、“例外モデル”とはどう違うの?

流相 :え~と、“構成要件モデル”は「行為と責任の同時存在の原則」を修正しない考えです。
この原則を維持しながら責任能力がある時点での原因行為を処罰の対象行為と捉える見解です。

玄人 :うん、“例外モデル”と“構成要件モデル”の違いを良く理解している。
じゃ、“構成要件モデル”内の学説の違いは?

流相 :それは、実行行為と実行の着手時期との考え方が違います。

玄人 :その違いは具体的にどういう違いとなる?

流相 :処罰時期の違いとして現れます。
たとえば、今日の原因において自由な行為の事例でいきますと、飲酒行為をしてその後寝てしまった場合、同視説からは、殺人未遂罪が成立しますが、分離説からは飲酒という実行行為はありますが、実行の着手がないので、殺人未遂罪は成立しないことになります。

神渡 :今、「飲酒という実行行為」という話があったのですが、飲酒行為はそもそも殺人罪の実行行為に該当するんですか?

流相 :単なる飲酒は殺人罪の実行行為にあたりませんよ。
ただ、飲酒をすれば心神喪失状態に陥り、周囲の人に刃物を振り回すなどの行為を過去に繰り返していた者が、近くに被害者がいる状況で飲酒をするという環境を考えれば、飲酒行為には被害者が殺害される相当程度の危険性が認められるといえるでしょう。
このように限定された状況下でではありますが、飲酒行為に殺人罪の実行行為が認められる場合があると思います。

神渡 :なるほど。
分かりました。

玄人 :では、同視説と分離説はどういう理屈になっている?

阪奈 :それは、同視説は、行為無価値を重視する行為無価値二元論から主張され、分離説は結果無価値を重視する結果無価値論から主張されています。
つまり、同視説は結果発生の危険性にいう“危険性”を「行為の危険性」(行為犯説)と捉えるのに対して、分離説は“危険性”を「結果の危険」=結果犯と捉えるのです。

玄人 :そうなるな。
結局、違法性の捉え方の違いが、同視説と分離説の違いとなってくるわけだ。
では、さらに分析を進めようか。
同視説も分離説もいずれも心神喪失状態の自分を道具として利用するから原因行為を処罰することが出来るとするわけだが、この考えを何という?

流相 :間接正犯類似説です。

玄人 :どういう考え方だ?

阪奈 :責任無能力の自分を道具として利用した間接正犯ですから、実行行為性に加えて、間接正犯を基礎付ける事実が必要です。
実行行為性については流相君が説明したとおりです。
間接正犯性については、責任無能力の自分を道具として“利用”したかどうかが問題となります。
“利用”したといえるには、結果行為を支配したと言えることが必要です。
流相君がいったように、これまでの飲酒行為時の状況から、
飲酒→心神喪失→刃物を振り回す
ということを繰り返したとすると、飲酒行為が責任無能力下の自分を支配していたといえると思います。
ということで、間接正犯性も認められると思います。
後は、間接正犯性を基礎付ける事実の認識、つまり、自分が責任無能力状態になって犯罪を行うことの認識(いわゆる二重の故意)が必要になります。
あ、あと結果行為時に故意が認められることも必要です。

神渡 :あの~、1つ質問していいですか?

玄人 :どうぞ。

神渡 :何故、結果行為時にも故意が要求されるんですか?
間接正犯類似説は、原因において自由な行為を間接正犯で説明するんですよね?
間接正犯の典型例は、故意のない者を道具として利用する場合だと思うのですが、そうしますと結果行為時に故意を要求する理由が分からないのです。

玄人 :なるほど!
誰か神渡さんに説明できる人はいるかな?

・・・(5)へ続く。

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