憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】錯誤論(旧司法試験昭和54年 第1問)(2)

玄人 :いよいよ、錯誤論に入る。
まず、どの錯誤?

流相 :方法の錯誤です。

玄人 :大きな分類として、どの錯誤だ?

流相 :(大きな分類として?)

神渡 :事実の錯誤だと思います。

玄人 :そうだそうだ!その錯誤のことだ。
では、事実の錯誤の中のどの錯誤だろう?

神渡 :具体的事実の錯誤です。

玄人 :そうだな。錯誤論の位置づけをしっかりしておかないと路頭に迷うぞ、流相君!

流相 :はい(意気消沈)。

玄人 :事実の錯誤と法律の錯誤の大きな分類があって、事実の錯誤の中に具体的事実の錯誤と抽象的事実の錯誤があって、具体的事実の錯誤と抽象的事実の錯誤の中に方法の錯誤・客体の錯誤・因果関係の錯誤があるという分類を頭に入れておくように!

刑法(旧試S54Ⅰ)学説図

では、続けよう。
方法の錯誤についてどう考える?

阪奈 :私は、規範論に加えて、法益保護機能も重視しますから具体的法定符合説が妥当と考えています。
そうしますと、甲が狙ったのは乙であって丙への傷害につき未必の故意すら認められませんから、丙への傷害につき甲に故意は認められません。
丙に対しては、過失傷害罪(209条)が成立するに過ぎません。

流相 :私は、抽象的法定符合説が妥当だと考えます。
そうしますと、甲は「人」を傷つけようと思っていたのですから、丙への故意も認められます。
よって、丙に対する傷害罪が成立します。
阪奈さんのような考えは、一般人の支持を得られないと思います。

阪奈 :一般人の支持を得られない、というのはその通りでしょうね。
しかし、刑罰は、一般人の支持があるか否かという観点から検討すべきではないと思います。あくまでも、刑法の基本機能である、「法益保護」の観点から刑罰権の発動を検討すべきです。
刑法の「規範論」を重視すれば、流相君が言ったように、一般人の支持というものが重要となるでしょうが、「規範論」の重視は、刑罰を主観的帰責だけで処罰する可能性が高くなり処罰限定の歯止めをかけることが難しくなると思います。

玄人 :対立が激しい論点だから、司法試験においては、自分が採用する学説をその理論的背景も押さえて分析をしておくように。
この過去問を検討して分かったと思うが、メインの錯誤の問題に行くまでに、刑法的観点から検討すべき事項が多かった。刑法の「思考枠組」、つまり、「構成要件」「違法」「有責」の観点から事案を分析するという癖をつけておけば、いきなり論点に飛びつくということがなくなる。司法試験は、法的観点から事案を分析して結論を出すことができるか?ということを見ているから、刑法なら刑法の「思考枠組」をしっかりと意識した勉強をすることが合格への近道だ。
今日は、これで終わろう。

流相 :神渡さん、お疲れ様。神渡さんの指摘、とても勉強になったよ。

神渡 :私、流相君みたいに知識がないから皆の議論について行くので大変なの。

流相 :いやいや、もう僕負けている。知識はあるかもしれないけど、神渡さんのように、「思考枠組」がしっかりしていないからさ。

阪奈 :そうね。自分でも分かってんじゃん。

流相 :(阪奈に言われるとむかつく)まぁね。

阪奈 :さて、じゃ、神渡さん、デザートを食べに行きましょうか?

神渡 :いいわね。

流相 :お、行く行く。

阪奈 :流相はダメ~。今日は、女子会!

流相 :なんじゃそりゃ。

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