憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】 司法試験『対話式 論点分析』-刑事訴訟法ゼミ-<過去問>令状主義・その3

神渡:例外の捜査はあまり好ましくないんですね?
適法であれば原則も例外も等価だと思っていたんですけど・・・

照田:法的には等価だが、現実的に我々捜査官に与える影響は、“原則捜査”と“例外捜査”では大きな違いがあるんだ。
ということで、令状に基づく捜査が可能とならないだろうか?

神渡:乙の所持品に対する捜索、つまりは③の行為を甲に対する覚せい剤譲渡被疑事件の捜索差押許可状で適法とするためには、その許可状の趣旨が乙の所持品に妥当する、といえれば良いわけですよね?

照田:そうだな。
できるか?

神渡:頑張ってみます!

そもそも捜索令状の趣旨は、ある場所・物・人が差押物存在の蓋然性がある場所・物・人であるかについて捜査機関に慎重に判断させ(自己抑制)、かつ、その令状請求内容について裁判官の司法的抑制を保障する点にあります。

ここで、本問では、捜査機関(警察)は甲に対する覚せい剤譲渡被疑事件について甲宅を捜索場所とする許可状を請求しています。
その際、捜査機関としては、甲宅内に被疑事件に関連する証拠物が存在する蓋然性が高いということを慎重な捜査の結果認識して令状を請求しているわけです。
ということは、慎重な判断の結果、甲宅内に差押物存在の蓋然性があるとして、令状請求していますから捜査機関の自己抑制が働いていると言えます。

また、裁判官は、甲宅内を捜索場所とする捜査機関からの令状請求を受け、その請求内容をチェックしているわけですから、甲宅内を捜索することについて裁判官の司法的抑制も働いています。

ですので、甲宅内を捜索することに、捜査機関の自己抑制、裁判官の司法的抑制が働いています。

照田:それはその通りだな!
で、甲宅から逃げ出した乙を甲宅から300メートルほど離れた路上で乙のポケット内を探った行為はこの捜索令状に基づき適法なのか?

神渡:え~と・・・
この捜索令状では甲宅内の捜索は適法ですが、乙のポケット内は甲宅内ではないので・・・

できない、ということに?

照田:う~ん、
もう一度問題文を見てみるぞ!

その場にいた乙が、テーブル上にあった物をつかみ、それをポケットに入れると、ベランダから外に逃げ出した。

照田:ということだった。
警察官Aが甲に捜索差押許可状を呈示して甲宅内に足を踏み入れた、まさにその時に、その場にいた乙がテーブル上にあった何か分からない物をつかんでそれをポケットに入れたんだ。
そして、玄関からではなくベランダから外に逃げ出している。
とても怪しいと思わないか?

神渡:怪しいです。
被疑事件に関連する物が乙のポケット内にある可能性がとても高いと思います。

照田:そうだよな。
そもそも、本問で、甲宅内の捜索が捜索許可状で可能なのは何故だ?

神渡:それは、甲宅内に被疑事件に関連する証拠物が存在する蓋然性が高いからです。

照田:うん。
本問での乙の行動を見ると、乙のポケットには覚せい剤譲渡被疑事件に関連する証拠物が存在するだろうという強い推定が働くよな?
ということは?

神渡:甲宅内の物を捜索することについては、自己抑制と司法的抑制が働いています。
甲宅内のテーブル上にあった物は甲宅内に存在した物なので本問の捜索許可状で捜索が可能でした。
乙のポケット内にある物は元々甲宅内のテーブル上にあった物です。
ということは、乙のポケット内にある物については本問の捜索許可状で自己抑制と司法的抑制が保障されています。
よって、乙のポケット内にある物について、本問の捜索許可状で捜索することは適法です。

照田:そうなるだろうな。
ただ、注意すべき点が1つ。
乙のポケット内にある物が甲宅内にあった物であることが捜索者にとって明らかであることが必要だろう。
何故だ?阪奈

阪奈:え~と・・・?

照田:令状主義の趣旨と関連するぞ!

阪奈:自己抑制と司法的抑制ですか?

照田:そうだ。
ただ、どの時点での自己抑制・司法的抑制かがここでの注意点だな。
結論から言うと、
・令状請求時
・令状執行時
の問題だ。

流相:照田先生、
それはどういうことですか?

---次回へ続く---

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