憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】司法試験論点分析-民事訴訟法-過去問講義-6<既判力・平成10年第2問>

上場:では、最後に小問三を検討しましょう。
小問三はどういう問いですか?

流相:賃貸人Xの賃借人Yに対する建物収去土地明渡請求認容判決(前訴)が確定した後に、YがXに事実審口頭弁論終結前から存在する建物買取請求権を行使すること(後訴)が前訴確定判決の既判力で遮断されないか?ということです。

上場:建物買取請求の後訴は建物収去土地明渡請求の前訴とどういう関係にありますか?

流相:“どういう関係”
ですか?
え~と・・・

上場:前訴と後訴の訴訟物が同一なのか?とかいうことですよ。

流相:あ~!
前訴の訴訟物は、
XのYに対する“賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての土地明渡請求権”
かと思います。

あっ!でも、Xは所有者でもあると思いますから、所有権に基づく返還請求権としてのとしての土地明渡請求権かもしれません。

上場:どっちでしょうか?

流相:Xは賃貸人ですから、前者が訴訟物かと思います。

神渡:ですが、賃貸人は通常所有者ですから、Xが賃貸人だからといって、Xが前者を訴訟物とするとは限らないのではないでしょうか?

阪奈:私もそう思います。
本問では、Yは後訴で建物買取請求を提起しています。
建物買取請求は

借地権の存続期間が満了した場合において

阪奈:行使することができる権利です(借地借家法13条1項)から、前訴の訴訟物は
XのYに対する“賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての土地明渡請求権”
です。

上場:神渡さんと阪奈さんのおっしゃる通りですね。

流相:・・・
そうですね。

上場:では、後訴の訴訟物は何でしょうか?

阪奈:“賃貸借契約の満了に基づく建物買取請求権”
だと思います。

上場:そうですね。
借地借家法13条によると、建物買取請求権は、
“借地権の存続期間が満了した場合”
に発生しますからね。
では、前訴と後訴の訴訟物はどういう関係に立ちますか?

阪奈:“同一関係”ではありませんし、“先決関係”にもありません。
しかし、前訴確定判決では、Yに建物収去義務が存在することが確定しています。
ところが、後訴の建物買取請求訴訟を認めてしまうと、建物の所有権が賃貸人Xに移転し、Yは建物収去義務を負わないことになります。
これは、Yの建物収去義務を認めた前訴確定判決に矛盾しますから、前訴と後訴の訴訟物は“矛盾関係”にあります。

神渡:なるほど!そうなりますね。
ただ、今思ったのですが、前訴の訴訟物は、
XのYに対する“賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての土地明渡請求権”
ですよね?

阪奈:そうです。

神渡:でしたら、前訴確定判決に生ずる既判力は訴訟物である土地明渡請求権の存否にのみ生じ、建物収去義務にまでは既判力は生じないのではないですか?

流相:ふ~む、
たしかに!
既判力は訴訟物たる権利の存否にのみ生ずるわけだから・・・。

上場:たしかにそういう疑問が出てきますね。
この問題は、どうなるんでしょうか?
考え方としては2つあるかと思いますよ。
1つ目は、既判力は訴訟物たる権利以外にも生じる、と考える。
2つ目は、既判力は訴訟物たる権利のみに生じる、という考え方を維持する。

---次回へ続く---

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