憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【89条前段の射程が及ぶかの検討】―憲法過去問(平成24年)―【対話】司法試験論点分析・5

流相: 3つもあったっけ?
 A寺への助成行為だけだったと思うんだけど?

阪奈: 大きく見るとそうだけど、それは荒っぽい分析でしょ!
 問題文にはもっと詳しいことが書かれてあるんだから。

神渡: A寺への助成の内訳が書いてあります。

・墓地の整備を含めた土地全体の整地の助成として2500万円(必要な費用の2分の1に相当する額)
・本堂再建の助成として4000万円(必要な費用の4分の1に相当する額)
・庫裏再建の助成として1000万円(必要な費用の2分の1に相当する額)

神渡: となってます。

流相: それぞれについて89条前段に反しないかを検討するわけ?

阪奈: そりゃそうでしょ!
 わざわざ問題文に書いてあるんだから。

流相: とすると、けっこうな分量になるなぁ。

阪奈: そうでしょうね。

流相: そうか。
 じゃ、早速だけど、「目的効果基準」に当てはめよう!

神渡: えっ?

阪奈: ハァ?

流相: うん?
 どうした?

神渡: えっと、規範は?

阪奈: ホントよ!
 規範も何もなくてどうやって当てはめをするのよ!

流相: ハァ?
 何を言ってるの?
 政教分離と言えば当然に「目的効果基準」が規範となるでしょ?
 受験生の誰もが絶対に知っている規範だよ?
 阪奈、まさか知らないとか?

阪奈: 何言ってんの??
 もちろん知っているわよ!
 ただ、何故、当然に「目的効果基準」なの?
 というか、その前にまず検討するべき問題があるでしょ?

神渡: B村の予算からA寺へ助成するのだから、当然、その助成金は「公金」に当たります。

流相: それはそうだよね。
 地方公共団体であるB村の予算だからね。

神渡: で、次に、A寺が「宗教上の組織若しくは団体」に当たるかが問題となると思います。

流相: 当然に当たるんじゃないのかな?

阪奈: 当然かどうかは分からないわよ?
 だって、問題文には特にA寺が宗教団体であるとは書かれていないもの。

流相: え~、そう?
 問題文には

・寺院の建築様式
・礼拝供養といった宗教儀式
・宗派
・檀家

流相:等、いかにもA寺が宗教団体であるような記述があるよ?

阪奈: でも、宗教団体であるかの明示はない以上、A寺が「宗教上の組織若しくは団体」に該当するかを確定させる必要はあるわよ。

流相: どうしてさ?

阪奈: だって、89条前段が適用されるのは、問題となっている団体が「宗教上の組織若しくは団体」である場合だもの。
 いかに、宗教色ある行為を行っていても、「宗教上の組織若しくは団体」に当たらないのであれば、89条前段は適用されないんだから。
 A寺が「宗教上の組織若しくは団体」に当たるかどうかは、89条前段の射程が及ぶかどうかに関わる重要な問題なのよ!

神渡: 「宗教上の組織若しくは団体」の定義については、最高裁が箕面忠魂碑訴訟(最判平成5年2月16日)で、

特定の宗教の信仰、礼拝又は普及等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする組織ないし団体

神渡:と言っています。

阪奈: 今、神渡さんが言った定義にA寺が当てはまるかを簡潔ではあってもしっかりと検討する必要はあるわね。
 そうじゃないと、89条前段の射程が及ぶかどうかが明らかにはならないから。
 ポイントは、

特定の宗教の信仰・礼拝・普及活動等を行うことを本来の目的としているかどうか。

神渡: A寺では、

釈迦の誕生日を祝う灌仏会(花祭り)

神渡:等の行事を催しているから、仏教という特定の宗教を信仰しているといえます。
観音菩薩像も祀られており、礼拝供養といった宗教儀式を行っていることから、A寺は仏教という特定の宗教を信仰し、礼拝する等の活動を本来の目的とした団体といえると思います。

流相: そこまで書くの?
 メインにいつになったらたどりつくのやら…

阪奈: まぁ、でも、ここは、最高裁の規範を当然の前提として、その規範への当てはめをするだけでもいいんじゃないかしらね。

流相: そうだね。
 で、いよいよ、本丸の「目的効果基準」に進むわけだ。

阪奈: でも…

流相: まだ、何かあるのぉ?

---次回へ続く---

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