憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】被害者の同意(錯誤)その6

玄人:角膜摘出事件について検討しよう。

阪奈:選択可能性の問題としては、母親には自分の角膜を提供しないという選択肢は論理的にはありますが、実際には角膜を提供せざるを得ない状況にあると思います。
そうしますと、選択の可能性がないわけですから、放棄意思の任意性が認められません。

流相:選択可能性を法益主体の価値観・心理状態に着目して判断する主観説からはそうなるでしょうが、客観説からは、母親は自分の角膜を提供しなければ自分が死ぬという状況にあるわけではありませんから、角膜を提供しないという選択肢も十分にあるのではないでしょうか?

阪奈:いや、客観説からでも、選択可能性はないといえると思います。

玄人:まず、「火事で飛び下りなければ焼死すると騙されて5階から飛び下りたところ負傷した」という事例(以下、火事飛び下り事件とする)では、どうなる?

流相:それは、その場に留まって焼死するという選択肢はないですから、選択可能性はなく、放棄意思の任意性は否定されます。

玄人:そうだ。この結論に争いはないだろう。

流相:ですが、角膜摘出事件は火事飛び下り事件とは異なります。
角膜摘出事件では母親が角膜を提供しないという選択肢がありますから。

阪奈:たしかに、角膜を提供しないという選択肢があるといえばあります。
しかし、人は1人で生きているのではありません。自然の制約のもと、さらには、他者との関係で制約を受ける存在だと思います。
母親は一般的に子のことを考えて行動する存在だ思います。
そう考えますと、母親であれば自分の子供のために自己の角膜を摘出せざるを得ない状況に陥ればその道を選ぶしか選択肢はないといえると思います。
結局、角膜摘出事件では、放棄意思の任意性が認められませんから、同意は無効となります。

流相:なるほどです(阪奈女史に負けた・・・)。

玄人:今日は、被害者の同意を違法性論とからめて検討し、その上で錯誤がある場合の同意を検討した。
いずれも、違法性とからむ問題だった。
違法論の基礎が出来ていれば違法性論にからむ論点の理解も容易になることが少しは分かってもらえただろうか?
今日は、お疲れでした。これで終わりましょう。

流相:(阪奈へ向かって)今日は負けました。

阪奈:素直でよろしい。
流相君も鋭い指摘があったわよ。

流相:今度は負けない!

神渡:私も頑張る!

阪奈:神渡さんは質問が鋭いと思うわよ。先生もそう言っているしね。
既に、流相を超えているわね。

流相:(たしかに・・・)

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