憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】被害者の同意(錯誤)その5

流相:「法益関係的錯誤説」から
(1)放棄する法益の正確な認識があり、
(2)放棄意思の任意性
が認められる場合に有効な同意があると考える場合、「条件関係的錯誤説」とどこがどう違うのですか?

阪奈:(2)放棄意思の任意性とは、選択可能性があることをいいます。
動機の錯誤があるからといって、直ちに選択可能性がないとはいえません。
「条件関係的錯誤説」は、動機の錯誤をもって直ちに放棄意思の任意性を否定する考えだと思います。

玄人:うん、うん。
じゃ、追死事例はどう説明する。

阪奈:Yが自死する意思を決定したのはXが追死するからでした。つまり、その意思決定過程(動機)に錯誤があります。
しかし、YがXの追死を誤信したからといって、Yに死ぬこと以外の選択肢がなかったとまでは言えないと思います。
ですので、追死事例は(2)放棄意思の任意性も認められます。殺人罪は成立しないことになります。

流相:追死事例では、Xと「別れるくらいなら心中しよう」とYがXに心中をもちかけています。
これは、Yの心理状態としては、Xから別れをもちかけられた時点でXと心中するしか道はなかったのではないか?と思います。
そうしますと、Yは死ぬことしか選択肢がなかったのではないでしょうか?
よって、阪奈さんがいう説からでも殺人罪が成立すると思いますが・・・。

阪奈:う~ん(なかなか良いところを突いてくるわね)

玄人:これは、選択可能性の判断基準の理解に関わる問題だ。
同意の任意性につき法益主体の価値観・心理状態に着目する主観説と、
法益放棄が一般的に見て合理的といえるかに着目する客観説の対立がある。

主観説に立てば、流相君がいったような結論になると私も思う。
では、客観説ではどうなるかな?
恋人と別れるくらいなら心中を選ぶというのは一般的に見て合理的とは私には思えない。だから、阪奈さんがいったような結論になるだろう。必然的にそうなるとはいえないだろうが・・・。

追死事例はこれくらいにして、次は、角膜摘出事件について検討しよう。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信することができます。

16人の購読者に加わりましょう

参加ブログランキング

応援クリックのご協力お願いします!!
 ↓   ↓   ↓   ↓  
にほんブログ村 資格ブログ 司法試験へ

Twitter

About CopyRIght

※当ブログにおける文章および内容・キャラクターは当ブログオリジナルのものであり、著作権は当サイトにあります。
商用・私用を問わず当サイトの著作権記載の無い【無断転載・無断印刷・無断複製、模倣および転用】を固く禁じております。

※当サイトは司法試験に関するブログやサイトに限り、リンクフリーです。サイト名とリンクをお間違えの無いようお願いいたします。
また、当ブログへのコメント・トラックバック、クレジット付きのリンク引用などは歓迎しております。
その場合、連絡は不要です。

※不明な点や疑問点、ご指摘等ございましたら、下記問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。


テキストリンクは以下をコピペでどうぞ。
<a href="司法試験分析.com">司法試験分析.com</a>

問い合せフォーム