憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【法律関係の性質決定】―憲法過去問(平成24年)―【対話】司法試験論点分析・2

流相

とても重要な事案分析

流相:って何だっけ?

阪奈: 国家のどういう行為が問題となっているのか?ということ!

流相: 「利益侵害論」のことかな?
 憲法論をする上でのスタート地点だったもん。

阪奈: え~と、政教分離規定では、「利益侵害論」は問題とならない…
 一部の学説では問題になるだろうけどね。

流相: 学説によるのか?
 う~ん?

神渡: 「制度的保障」

流相: あ~~!
 そうだった。
 判例も通説も政教分離規定は「制度的保障」という立場だった。
 人権説は超小数説だったよ、思い出した。

阪奈: そう!
 だから、個々人の利益侵害の有無を検討するステップ、「利益侵害論」は「政教分離」では不要となるの。

流相: そうだったよ。
 「制度的保障」って、

国家と宗教との分離を制度として保障し、もって間接的に信教の自由を確保しようとする規定(最大判昭和52年7月13日・津地鎮祭訴訟)

流相:だった。
 つまり、信教の自由の侵害があったか否かを問わないわけだ。

神渡: 信教の自由の侵害の有無を問わないことによって、確実に信教の自由の保障を担保しようと考えたのが政教分離規定というわけよね?

阪奈: まさにそうね!
 政教分離規定は、信教の自由の保障を担保するため規定、というわけ。

流相: でも、侵害利益の有無は問わないと言っても、国家のどの行為が政教分離規定に反するかは問題になるんだよね?

阪奈: そう!
 政教分離規定では、「侵害利益論」は問題とならないけれども、代わりに「侵害行為論」が重要な問題となる。

国家のどの行為がどういう政教分離規定に違反するのか?

阪奈: ここを明らかにしないことには先に進めない…

流相: 阪奈がさっき言った、
 ”とても重要な事案分析”
というのは、そういう意味だったんだ!

阪奈: やっと気が付いてくれたのね、良かった。

神渡: やっとスタート地点を認識することができたわけだけど、ここからが難しい…
 なんとなく、89条前段が問題となりそうなことはわかるのだけど、なんとなくではなく、きっちりと詰めて、はっきりとした理由をもってどの政教分離規定を適用するのかを判断したい。
 どうすればいいのかなぁ?

阪奈: 理屈としては、まず、各政教分離規定が想定している適用場面を確定することだと思うわ。
 国際私法でいう「法律関係の性質決定」みたいなものね。
 『単位法律関係』を確定するみたいな。

神渡: そういえば、今は亡き民法の星野英一先生も、民法でも「法律関係の性質決定」が重要だと書かれていたわ。

ある社会関係がどの法律関係にあたるかを決めることを「法律関係の性質決定」と呼ぶ(星野英一『法学入門』(放送大学教育振興会、1995年)150頁)

神渡:と書かれていたわね。

払猿: 憲法でも「法律関係の性質決定」、略して「法性決定」が重要になるわけだ。
 ま、「利益侵害論」の議論だって、「法性決定」の問題だもんな。

阪奈: 結局、すべての法律科目では、初めに「法性決定」をしないと法律論の議論が始まらないことに変わりはないわけだけどね。

神渡: そうよね。
 刑法だって、

Aが甲をナイフで刺した。

神渡:という事案で、Aに何罪が成立するかを検討するに当たっては、まず、何罪の適用をするかを決めなければならないのよね。
 殺意がないことがもし明らかであれば殺人罪(刑法199条)で処罰されることはないわけだから殺人罪の適用を考えるまでもない。

阪奈: そう!
 でも、殺人罪を適用すべきか否かを検討するに当たっては、殺人罪の構成要件を他の似た犯罪、たとえば、傷害致死罪(刑法205条)の構成要件と比較して、殺人罪の適用場面をしっかりと押さえておく必要があるわね。
 ということで、「政教分離規定」の適用場面をしっかりと押さえておくことがこの試験問題を解くポイントなるでしょうね。

---次回へ続く---

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