憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

分割指定【国際私法過去問・平成27年】―夫婦財産制<5>―【対話】司法試験論点分析(その5)

神渡: C土地の所有権に関するXとYの財産関係には、甲国法が適用されるということになりますね。

錆新: そうなるわね。
 じゃ、(2)を検討しましょうか。

流相: これは、通則法26条2項3号の問題ですね。
 この規定によればB土地所有権に関するXとYの財産関係には、日本法が適用されます。

錆新: もう少し丁寧に検討してみましょう。
 まず、『単位法律関係』は?

流相: え~と、「夫婦財産制」です。

錆新: もっと丁寧に。

流相: えっ?

神渡: 「不動産に関する夫婦財産制」ですね?

錆新: そうそう!
 夫婦財産制のなかでも、特に「不動産」に関する夫婦財産制についての規定が通則法26条2項3号だから、そこは丁寧に押さえておかないとね。
 この指定の仕方はつまり?

流相: ???
 (どういう意味だろう?)

阪奈: 夫婦財産制について、XとYは甲国法によると合意しています。
 その夫婦財産制の中でも、特に不動産についてはその準拠法を所在地法、つまりB不動産の所在地である日本の法とする合意をしています。
 つまり、分割指定をしています。

錆新: そういうことになるわね。
 でもなぜ、不動産に関する夫婦財産制について、通則法は分割指定を明文で認めたのかしら?

流相: 当事者自治の肯定ということですよね?

阪奈: まぁ、それはそうね。
 夫婦財産制というのは、夫婦の財産を規律する制度であるところ、財産関係は原則として私的自治に任されているわけだからね。

錆新: それはそうね。
 それを前提としてだけど、もし、通則法26条2項3号がないと、不動産については通則法上どういう扱いがされるのかしら?

神渡: 不動産については、通則法13条に規定があります。

動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。

神渡:と規定されています。

錆新: とすると?

神渡: 夫婦財産制に含まれる不動産について、「夫婦財産制」と法性決定されると通則法26条が適用され夫婦の同一本国法などが準拠法と特定されますが、その不動産が「不動産に関する物権」と法性決定されますと通則法13条が適用され、「目的物の所在地法」が準拠法と特定されます。

錆新: そういうことになるわね。
 どう法性決定するかで相矛盾する結果が導かれることになる…
 その場合にどういう解決をするかは争いがあるの。
 一つの解決方法は、「個別準拠法は総括準拠法を破る」原則を適用して、通則法13による解決を優先するという方法があるわ。

流相: では、この問題もそういう問題なのですか?

錆新: いいえ、違うわ。

阪奈: むしろ、通則法26条2項3号は、そういった問題を生じさせないための規定なのですね?

錆新: そう!

神渡: 夫婦財産制の中の不動産について分割指定の合意をすることで、通則法26条と13条の矛盾を回避しているわけですね。

錆新: そういうこと。
 本問では、この分割指定の合意があるわけだから、その指定に従って準拠法を特定すればいいわけ。
 だから、「個別準拠法は総括準拠法を破る」原則の適否の問題は生じない、ということになるわね。

流相: なるほど~。
 国際私法って難しいですねぇ…

錆新: 簡単というわけにはいかないわね。

阪奈: 結局、(2)では、日本法が適用されるという結論になります。

錆新: そうなるわね。
 ということで、〔第1問〕はこれで終わりましょう!
 次は、〔第2問〕ね。

---次回へ続く---

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