憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】憲法(事例問題の解法~審査基準論vs三段階審査論)その9

払猿:では、次に、「三段階審査論」からは、どうなるでしょうか?
もう一度、「審査基準論」と「三段階審査論」とを比較しておきましょう。

憲法(審査基準論vs三段階審査論)

このようになりますね。
「三段階審査論」では、「白タク営業事件」をどう分析することになりますか?

神渡:はい。
(1)利益状況の確認と
(2)保護範囲論は阪奈さんがおっしゃたのと同じで良いと思います。
問題は、(3)正当化論です。

払猿:そうですね。

神渡:「比例原則」によるわけですが、その厳格度は、
(ア)保護強度
(イ)制限強度
の相関関係によります。

「白タク営業事件」は、自家用車での有償運送営業の制限が問題となりました。営業そのものの問題ですから、阪奈さんがおっしゃたように営業の核心部分での保障といえます。
そして、営業をしたい個人の能力とは関係の少ない制限ですから、営業自体の禁止の中でも特に強力な制限です。
そうしますと、保護強度も制限強度も強いですから、厳格に「比例原則」を適用すべきです。私としては、少なくとも「LRAの基準」を用いるべきではないか?と思います。

払猿:「審査基準論」とどう違いますか?

神渡:「審査基準論」では、「白タク営業事件」に合憲の推定が働きましたが、「三段階審査論」の「比例原則」では、権利の性質に応じてカテゴリカルに違憲・合憲の推定が働くということはありません。保護強度・制限強度に応じて、経済的自由権の制限であっても違憲の推定を働かせることができる点に違いがあると思います。

払猿:そうでしょうね。
「三段階審査論」の「比例原則」では、権利の性質が問題ではなく、(ア)保護強度と(イ)制限強度が問題となります。この2つの相関関係で「制限の正当化」を検討するわけですから、(ア)と(イ)の検討が一番のポイントになります。保護強度のグラデーション、制限強度のグラデーションを如何に具体的に考えることが出来るかが論証の出来を左右するでしょう。
たとえば、神渡さんが、先程おっしゃったように、営業自体の禁止の中でも、個人の能力と関係のない制限なのか否かということは重要な視点です。
「比例原則」というものが、本来、目的を所与の前提として、手段が目的達成のための手段として釣り合っているかという思考をすることからすると、保護強度と制限強度が重要となることは当然ですけどね。

払猿:今回は、「審査基準論」と「三段階審査論」を検討しました。どちらの「思考枠組」を使っても構いません。司法試験的にもどちらでもいいでしょう。採点実感でも、「比例原則」を採用するならその理由を書くべきというように指摘されていますから、理由を書けば「比例原則」を用いても良いという意味だと思います。
次回の講義からは、これらの「思考枠組」を用いて、判例の事案や司法試験の問題(新旧をといません)を検討していきましょう。
では、今日の講義はこれで終わります。

神渡:ふぅ~。
かなり疲れたわね。初めから「思考枠組」の話になるとは予想しなかったわ。
でも、これで憲法の事例問題の解き方は分かったように思う。後は、練習ね。

阪奈:神渡さん、お疲れ様。最後の受け答え、私凄い勉強になったわ。制限強度の分析凄かったわよ。

神渡:ありがとう。既修者の皆に置いていかれないように頑張らなくちゃ!

流相:知識は未だ足りないかも知れないけど、法律の思考は凄いできていると思う。

阪奈:何、上から目線なのよ。トンチンカンな受け答えしかしていないくせに。

流相:いや、講義では間違うことに意味があるのだよ(自慢げに)。

阪奈:間違えすぎなのよ。

神渡:まぁ、まぁ。たとえ間違えたにしても、答えられるだけ凄いと思うわ。私なんて、何を言って良いのか分からないことが多いもの。

阪奈:一緒に勉強しましょうね。

流相:おう、良いぞ!

阪奈:あんたには言っていないわよ!神渡さんに言っているの。

流相:やっぱり?でも、一緒にやろうぜ。

神渡:こちらこそ、お願いね。足を引っ張らないように頑張るわ!

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