憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

憲法過去問(平成27年)その5―表現の自由論(1)―【対話】司法試験論点分析

払猿: 「平等」を巡るBの訴訟代理人の主張はこれくらいでいいのではないでしょうか。
 次は、差別以外でBが主張していることをBの訴訟代理人としてあなたはどのような憲法上の主張を行いますか?という問いに行きましょう。

流相: これについては、少し前に少し議論しました。
 Y採掘事業の安全性に問題が残っているので現段階では反対だ、というBの信条は公の場で発言されているので、19条の思想良心の自由の問題ではないことは確認しました。
 そして、B自身は既に公の場で、安全対策が十分に確保されていない現段階では、Y採掘事業に反対せざるを得ない、とA市に邪魔されずに発言することができていますから意見を外へ主張する自由としての「表現の自由」の制限はありません。
 そうしますと、表現の自由の問題は生じないようにも思えます。

阪奈: たしかに、Bの発言は過去になされていて、その際、A市から邪魔されていない。
 しかし、A市が過去のBの表現を理由にBの正式採用を拒否したとすると、今後、BはA市の政策に反対する表現をしにくくなるわね。
 いわゆる「萎縮効果」のことね。
 しかも、その「萎縮効果」はBだけにとどまらない。
 過去の表現・発言を理由に正式採用しないとなると、B以外の個人、つまり不特定多数者も自由に表現・発言することに不安を感じ、表現を不必要に控えるという事態が発生するわね。

神渡: 個人の表現への「萎縮効果」に加えて、不特定多数者への「萎縮効果」も生じるということですね。
 そうすると、問題はその「萎縮効果」が表現の自由で保護されるのか?ということですね。

阪奈: 「保護範囲論」の問題ね。

払猿: 本問では、ここが難しいですね。
 3つあるBの主張のうち、差別に関する主張は明確なので憲法14条の問題だとすぐにわかりますが、最後の1つはどの憲法上の権利なのかが不明です。
 ここは、Bの訴訟代理人としてあなたが考えるべき部分になります。
 憲法19条の問題とすると、この主張に関する点数がごっそりなくなってしまいます。
 その意味で、スタートを間違えないことが重要と言えます。

流相: そうですね。
 僕も初めは憲法19条の問題だと思ってしまったので反省です。

払猿: スタートを間違えないコツは、「利益侵害論」をしっかりと分析することです。
 それを前提に、「保護範囲論」に進むと間違えにくくなります。

流相: 分かりました。

神渡: 「利益侵害論」では、Bへの「萎縮効果」と不特定多数者への「萎縮効果」を析出しました。
 そして、表現への「萎縮効果」が「表現の自由」で保護されるのか?を次に検討するわけですね?

払猿: そういう流れになります。

流相: 「表現の自由」は、表現へ萎縮効果をもたらす国家行為を禁じているのでしょうか?

阪奈: それは、「表現の自由」の保障根拠から検討すべきです。
 どの根拠論をとっても大差はないと思うから、私が妥当だと考える「思想の自由市場論」から説明してみます。
 「思想の自由市場論」からは、思想が言論市場で自由に流通することが必要です。
 もっとも、そういうと、既に公表された思想の流通さえ保障されればよさそうにも聞こえますが、そうではありません。言論市場に既にある思想だけではなく、言論市場に思想を持ち込むことも保障されないと「思想の自由市場」は保障されません。
 表現への「萎縮効果」が生じてしまうと、本来なら言論市場へ持ち込まれたはずの思想が言論市場に入ってきませんので、「思想の自由市場論」に根拠を持つ「表現の自由」は害されてしまいます。
 なので、「表現の自由」は、表現へ萎縮効果をもたらす国家行為を禁じていると言えます。

払猿: 良いと思いますよ。

神渡: そうすると、次は本問の「萎縮効果」が憲法21条に反して違憲となるかの検討ですね?
 どう考えるのでしょうか?合憲性判断基準ですか?
 ですが、絶対的に禁止される「検閲」にも似ていますし…

---次回へ続く---

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