憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

憲法過去問(平成27年)その4―審査基準論―【対話】司法試験論点分析

流相

(1)「平等」の内容は、合理的区別を認める相対的平等
(2)「信条」に基づく不利益取扱いがある

流相:ということになるね。これまでの流れでは。
で、次に、「信条」に基づく不利益取扱いが合理的区別に基づくのか否か?
合理的区別か否かの判断基準、つまり、合憲性審査基準の設定の問題だね。

阪奈: これについては、後段列挙事由に基づく区別については厳格に判断するという「厳格審査基準」の考えで良いと思います。
具体的には、

(a)立法目的がやむにやまれぬ必要不可欠なものであり、
(b)立法目的達成手段が是非とも必要な最小限度のものである

阪奈:場合に、その区別には合理的理由がある、という基準です。

神渡: 芦部先生の基本書にもそう書かれていますね。
ところで、

立法目的がやむにやまれぬ必要不可欠

神渡:とはどういう意味なのでしょうか?

流相: とても重要ということだと思うんだけど?

神渡: ということは、「立法目的が重要」という審査基準とは違うということですか?

流相: それよりももっと重要ということかな?

阪奈: 何それ!
 感覚的で意味不明。
 それでは、物差しの役割を果たさないじゃないの!!

流相: 誰が見ても重要とか?

阪奈: 変わってない。

払猿: そこはあまり基本書にも書かれていないかもしれません。

立法目的がやむにやまれぬ必要不可欠

払猿:であるとは、つまり、

目的が、他者の憲法上の権利に基礎を持つ法益の保護にある

目的が、他者の憲法上の権利の保護にある

払猿:ということです。

神渡: 分かりました。

払猿: ここで、もう一度、Bの平等に関する主張をまとめておきましょう。
 その上で、審査基準の話を続けましょう。

流相: では僕が。

(1)Cと反対意見の具体的内容や意見表明に当たってとった手段・行動に大きな違いがあるにも関わらずCと自分を同一に扱ったことが差別である。
(2)能力はDらと同等かそれ以上であるにも関わらず、反対意見を持っていることを理由に正式採用されなかったことが差別である。

流相:とBは主張しています。

神渡: (1)は「信条」に基づく不利益取扱いにあたるので「厳格審査基準」によるべきとなりました。
 (2)は何に基づく不利益取扱いなのかの検討はまだしていません。

流相: Bの能力はDらと同等以上であるのにBを正式採用しなかったのは、Y採掘事業に反対しているBの発言内容にあることとA市が回答していることからすると、ここでも「信条」に基づく不利益取扱いであると思います。

阪奈: 平等に関するBの上記2つの主張はいずれにしても「信条」に基づく不利益取扱いに当たります。
 ですので、「厳格審査基準」に当てはめて結論を出します。

払猿: そうなるでしょうね。
 具体的にはどうなりますか?

流相: Y対策課の設置目的は、

将来実施されることとなるY採掘事業の安全性及びこれに対する市民の信頼を確保すること

流相:にあります。
 安全性確保目的はやむにやまれぬ必要不可欠な目的であると思います。

阪奈: そうかしら?

流相: えっ?
 だって、安全性確保は個人の存立にとって必要不可欠だと思うよ?

阪奈: それはわかるけど、さっき「やむにやまれぬ必要不可欠」の意味が明らかになったけど、そこでは、

目的が、他者の憲法上の権利の保護にある

阪奈:ということだったわ。
 今問題となっている”安全性”は、はたして「他者の憲法上の権利の保護」、と言えるのかしら?

流相: 言えないの?

神渡: 言えない気がします。
 ここで問題となっている”安全性”とは、周辺住民に重大な健康被害を与える危険性から”市民”を保護することです。
 ”市民”というのは、個々人の集合体を意味していますから、Y対策課の設置目的は、「他者の憲法上の権利の保護」を目的としていないと思います。

流相: え~、そうなの?

阪奈: 私もそう思うわよ。
 憲法上の権利は、一人一人の国民に付与されているものであって、個々人の集合体である”市民”や”国民”に付与されたものではないもの。

払猿: 神渡さんや阪奈さんがおっしゃったことが正しいと思います。
 Y対策課の設置目的は、つまるところ、”公益”の保護にあるといえるでしょう。

阪奈: そうすると、そもそもY対策課の目的は、公益保護にあるのだから、目的が他者の憲法上の権利の保護にあるとはいえず、「厳格審査基準」の目的を充たさない。
つまり、

(a)目的がやむにやまれぬ必要不可欠なもの

阪奈:ではないということになります。
 だから、Bの訴訟代理人としては、A市は「目的・手段審査」としての「厳格審査基準」の「目的審査」を充たさず違憲だ、と主張すべきです。

---次回へ続く---

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