憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

『連結点』について【国際私法過去問・平成27年】―夫婦財産制<2>―【対話】司法試験論点分析(国私過H27・その2)

錆新: じゃ、まず、『単位法律関係』の性質から決定しましょう。
 本問は、どういう『単位法律関係』かしら?

流相: それは問題文にも「夫婦財産制」と書かれていますから、通則法26条1項の「夫婦財産制」です。

阪奈: そこは問題ないわね。

錆新: そうね。
 では、『連結点』は?

流相: 通則法26条1項によれば、通則法25条が準用されます。

夫婦の本国法が同一であるときはその法(通則法25条)

流相:とされていますから、『連結点』は、夫婦の本国法が同一であれば、その本国となります。
 ですから、本問では『連結点』は甲国です。

神渡: ですが、XとYは初めは共に甲国人でしたが、その後共に日本国籍だけを取得しています。
 国籍に変動が生じているのですが、その場合、甲国を基準にするのでしょうか?それとも日本国を基準にするのでしょうか?

流相: あっ!そうだったね。

阪奈: ここは論点よね。

連結の時点を婚姻時点に固定するのか(不変更主義)
連結の時点の変更を肯定するのか(変更主義)

阪奈:という不変更主義vs変更主義の対立があるわね。

神渡: 不変更主義だと、本問ではXYは婚姻時点では共に甲国人でしたから甲国が『連結点』となりますね。
 変更主義だとどうなるでしょう?

流相: 変更後の地が『連結点』となるんだよね。
 ということは、変更された『連結点』でもってそれまでの夫婦財産関係を処理するということかな?

錆新: それは違うわね。
 変更主義でも、変更されるまでの夫婦財産関係は変更前の『連結点』で処理されるわ。
 ただ、変更後は変更された『連結点』で夫婦財産関係は処理されるということね。

神渡: そうなのですね。
 わかりました。

流相: 通則法26条1項は不変更主義なのかな?

神渡: 条文では、

前条の規定は、夫婦財産制について準用する。(通則法26条1項)

神渡:とだけ規定されています。
 連結の時点については特に何も規定されていません。
 また、通則法26条1項で準用される25条は、

婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

神渡:と規定されています。ここにも連結時点の定めはありません。

流相: そうはいっても、連結時点の変更を認めるという文言もないから何とも言えない…

錆新: 確かにそうね。
 条文には何の定めもないから通則法だけを見ていたら形式的にはどちらも可能でしょうね。
 ここでは、かつての法例15条が連結時点を婚姻当時に固定していたことと対比すると通則法の趣旨がはっきりするわ。

夫婦財産制ハ婚姻ノ当時ニ於ケル夫ノ本国法ニ依ル(法例15条)

錆新:と規定されていたの。

婚姻ノ当時ニ於ケル

錆新:という文言が削除されていることからすると、通則法26条は不変更主義を否定する趣旨、つまり変更主義を採用する趣旨だと言えるわね。
 ただ、不変更主義は、平成元年(1989年)の「法例」改正により変更主義へ改正されているから、通則法の前身である「法例」時代に既に変更主義へ改正されていたわけだけどね。

流相: そうだったんですね!

神渡: 不変更主義はそんなに不都合があったのでしょうか?
 形式的明確性や当事者の予測可能性の確保という観点からは不変更主義が合理的な気がするのですが…

阪奈: もし不変更主義を採用したとすると、婚姻後、婚姻挙行地とは全く別の地に夫婦が生活の本拠を置いた場合でも生活の本拠地とはまったく関係のない婚姻挙行地が『連結点』とされるわけで、婚姻当事者としては混乱するわよ。何十年も婚姻挙行地とは別の地に居住しているのに、夫婦財産関係については婚姻挙行地が『連結点』とされることは婚姻当事者の予測可能性を害するといえるわね。

神渡: なるほど!

錆新: じゃ、〔設問〕1の(1)(2)(3)の『連結点』はどうなるかしら?

流相: A建物とB土地取得時は、XYいずれも甲国人でしたから、同一本国としての『連結点』は甲国となりますが、C土地取得時にXとYは日本国籍だけを取得していますからXYの同一本国としての『連結点』は日本となります。
 ですので、A建物、B土地の準拠法は甲国法と特定され、C土地の準拠法は日本法と特定されます。

錆新: 準拠法の特定段階で他に検討すべきことはあるかしら?

---次回へ続く---

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