憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】憲法(事例問題の解法~審査基準論vs三段階審査論)その7

払猿:では、「白タク営業事件」を検討しましょう。
もう一度、事案を確認します。

≪事例≫

「タクシー営業の免許を受けずに自家用車を用いて有償運送をしていた者(便宜上Aとします)が道路運送法に違反するとして有罪とされた事件」

でしたね。
この事案を、「思考枠組」に照らして検討します。「権利論」の「思考枠組」から検討しましょう。
誰か、分析してもらえませんか?

阪奈:はい。
(1)利益侵害状況を確認します。道路運送法により、Aは自家用車を使って自由に有償で運送営業をすることができないという不利益を被っています。
(2)保護範囲を検討します。ここでいう、有償で運送営業をする利益(有償で運送営業をする自由)が憲法上保護されているかが問題となります。これについては、営業の自由は「職業選択の自由」(憲法22条1項)で保護されるというのが判例です。流相君が説明したように、営業を通じて個人が自己の人生を自律的に決定することを保障すべく営業の自由は「職業選択の自由」で保障されると解されます。
(3)違憲審査基準(正当化論又は違法性阻却論)を最後に検討します。

払猿:(1)(2)は先程の確認ですね。問題は(3)ですね。
阪奈さん、頑張ってください。

阪奈:「権利論」の思考枠組ですから、「審査基準論」で考えます。
「審査基準論」では、まず、二重の基準論(審査密度)が問題となります。
「白タク営業事件」で問題となった権利は営業の自由という経済的自由権ですから、合憲の推定が働きます。裁判所は法律が合憲であるというスタンスで審査に臨みます。
その上で、具体的な審査基準を定立します。ここでは、保護強度と制限強度の相関関係によります。
この事件では、自家用車での有償運送営業の制限が問題となりました。営業そのものの問題ですから核心部分での保障といえます。
制限は営業自体を禁じる強力な制限です。

以上の保護強度の強さ、制限強度の強さを考慮すると具体的な審査基準は、目的と手段との実質的な関連性を問う基準(「厳格な合理性基準」)によるべきかと思います。

神渡:すいません。「実質的な関連性」とは何ですか?

阪奈:同じ目的を達成できる、より緩やかな規制手段があるかを問うことです。

神渡:そうすると、「LRAの基準」と同じな気がするのですが・・・。
「厳格な合理性基準」と「LRAの基準」とは同じなのですか?違うのですか?

阪奈: ・・・(あら、同じなのかしら?)

流相:名前が違う以上、違う基準だとは思うのですが・・・。

払猿:そうですねぇ、ここは難しいところです。
「LRAの基準」も「厳格な合理性基準」も「よりゆるやかな規制手段」の有無を問う点では同じなので、かなり似ている基準ですよね。
学者によっても、「厳格な合理性基準」または「LRAの基準」というように互換的に使われているようです。
では、皆さんに聞いてみましょう。「LRAの基準」は典型的にはどの権利の制限に用いられますか?

流相:それは、表現の自由の、「時・場所・方法」規制に用いられています。

払猿:そうですね。では、「厳格な合理性基準」は?

流相:経済的自由権の制限に用いられています。

払猿:ということは?

流相:あっ!
審査密度に違いがあると言うことですね。

払猿:具体的には?

流相:「LRAの基準」は違憲の推定が働く基準で、「厳格な合理性基準」は合憲の推定が働く基準だと思います。ですので、「よりゆるやかな規制手段」と言う点で、両基準が同じであっても、審査密度の点で異なる基準だと思います。

払猿:審査密度が異なるということは、具体的にはどうなるのだろうか?

教室内: ・・・

・・・その8へ続く。

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