憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

共同正犯の成立要件と犯罪共同説・行為共同説の関係(犯罪共同説vs行為共同説・終)【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共同正犯論19

阪奈: 行為共同説に対する、構成要件的に重なり合いのない犯罪間でも共同正犯を認めるとんでもない説という批判は、行為共同説を黒く描いておいて、その黒さを批判する弊に陥っているわね、私が見るところ。

流相: そう?
 ということは、行為共同説も構成要件的重なり合いのある犯罪間での共同正犯を認めるのかな?

阪奈: そう!
 さっきも話したけど、実行行為該当性判断に行為者の主観を考慮しない結果無価値論的発想だと、実行行為の重なり合いは客観的に判断されるわ。
 殺意があろうとなかろうと、

犯罪共同説vs行為共同説

阪奈:この事例では、ナイフで甲を刺すという同一の実行行為をAもBも共同しているでしょ?

流相: それはそうだねぇ。
 しかし、主観が異なる行為を同一の実行行為と言えるのか?そこに疑問が…

阪奈: それは、流相が行為無価値的発想に慣れ親しみすぎているからよ!
 その発想からいったん離れないと、行為共同説を理解することはできないと思うわよ?
 平野先生が、

殺人・傷害致死・過失致死は、「犯罪類型」としては異なるが、構成要件は同じだといえる(平野龍一『刑法 総論Ⅱ』(有斐閣、1972年)98頁)

阪奈:とされていることの意味をしっかりと考える必要があると思うわ!!

神渡: 要は、実行行為の理解、構成要件の理解、ひいては、行為無価値論と結果無価値論の発想の違いが、行為共同説と犯罪共同説の対立の根底にある、という理解でいいのですか?

玄人: そういう理解で良い。
 刑法の基本的な概念である、実行行為・構成要件・行為無価値論・結果無価値論が様々な論点で顔を出すんだ。

流相: そうなんですね。
 でも、僕は犯罪共同説で答案を書くから行為共同説に納得できなくてもいいかな?と思いますけど。

阪奈: バッサリきたわね、流相!
 ま、試験的にはそれでいいんだと思うけどね、私も。
 でも、暗記する負担は減らしたいのよ、私は!
 だから、可能な限り理解することに努めるわ。

神渡: 私もできる限り理解したいです。そうじゃないと、覚えられません。

流相: え~と、最後に確認ですけど、犯罪共同説と行為共同説は、共同正犯の処罰根拠・要件とどう関係したんでしたっけ?

神渡: 共同正犯の成立要件は、

共同正犯の判断枠組2

神渡:でした。
 謀議に基づく実行行為があることが共同正犯では重要です。
 「実行行為」をどう理解するかで、謀議内容も変わってきます。
 行為者の主観(たとえば、殺意)も実行行為該当性判断に考慮すると、同一の主観(殺意)を持つ共犯者間でのみ殺人罪の謀議が成立します。
 ところが、行為者の主観を実行行為該当性判断では考慮しないならば、行為者の主観はさておき、客観的に同一の行為(上の例ではナイフで甲を刺す行為)をともに実現する謀議があれば人の死亡をもたらす罪(殺人罪や傷害致死罪や過失致死罪)の謀議が成立します。具体的な罪名は、行為者の主観で決まってくるということになるのだと思います。

阪奈: 私もそうだと思うわ!
 つまり、犯罪共同説VS行為共同説の対立は、共同正犯の成立要件から離れた議論ではないということね。

流相: なるほどねぇ…
 行為共同説に納得するかどうかはさておき、理解することはできたと思う。

玄人: 犯罪共同説と行為共同説はこれくらいにしておこう。

---次回へ続く---

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