憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

要は、実行行為の理解の問題です。【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共同正犯論18

流相: へぇ~~!
 なるほどねぇ。

犯罪共同説vs行為共同説

流相: この事例では、ナイフで人を刺すという同一の実行行為についてABは共に実行することを謀っているということなんだ!
 ん?でも待てよ。
 最終的に、行為共同説は上の例で、殺意のあったAには殺人罪の共同正犯を、殺意はなく傷害意図しかなかったBには傷害致死罪の共同正犯を認めるんだよね?
 結局、異なる罪名についての共同正犯を認めることに変わりはないじゃないか!
 何かおかしくないかな?

阪奈: そうかしら?
 そもそも、共同正犯の議論って何のための議論だったのか?という玄人先生の指摘がここで重要になってくると思うわよ。

流相: う~ん…
 行為共同説が言っていることはやっぱり理解しにくいんだよなぁ。
 結局、異なる犯罪について共同正犯の成立を認めるのが行為共同説なんだよね?
 どうしてそういうことが可能なんだろう?

阪奈: そもそも、共同正犯を議論する実益があるのは、単独犯だと因果関係が認められない場合だったわね。
 因果関係ということは、構成要件の問題だから、共同正犯が成立するということは構成要件のレベルの問題なわけ。

流相: う~ん…

阪奈: 行為共同説は、最終的には異なる罪名での共同正犯を認めるのだけど、罪名が異なるのは共同正犯者間で責任が違っているからなの。
 上の事例でいうと、Aには殺人罪の共同正犯が、Bには傷害致死罪の共同正犯が成立するけど、それは、Aが殺意を持っていたのに対して、Bは殺意を持っていなかったからで、責任に差があることに基づくわけ。

流相: 責任が異なるのに共同正犯が成立する、というのが理解できない…
 犯罪共同説は、同じ責任の範囲で共同正犯を認めるから分かりやすいんだけど…

阪奈: そこは、実行行為の理解にかかわってくる部分ね。
 さっきも言ったと思うけど、実行行為該当性判断に主観を考慮する行為無価値論の発想だと、同一の実行行為を共同したというには同じ主観を持ってないといけないことになるはず。
 でも、実行行為該当性判断に行為者の主観を考慮しない結果無価値論の発想だと、行為者の主観が異なっていても、客観的に同一の実行行為を共同することは可能となるはずね。客観的に同一の実行行為を共同する点に共同正犯が成立する、だから、主観が異なっていても共同正犯が成立する、ということだと思うわよ。

流相: おぉ~、なんか少しわかったような気がする。
 要は、実行行為の問題なわけか?

神渡: そうみたいですね。
 犯罪共同説も行為共同説も同一の実行行為を共同するという点では同じですが、そこでいう「実行行為」の中身が違うと。
 その実行行為の理解の違いが犯罪共同説と行為共同説の違いになって表れているということのようです。

流相: そうなんだね。
 でも、行為共同説って、構成要件的に重なり合いのない犯罪間でも共同正犯を認めるとんでもない説だ、みたいな批判があるよね?
 僕はその批判良くわかるんだけど。

阪奈: それは、対立する説をあえて曲解しておいて批判するようなものよ。
 平野先生は、

一方が他方を「まず黒く描いておいて、その黒さを批判する」弊(平野龍一『刑法 総論Ⅰ』(有斐閣、1972年)4頁)

阪奈:という表現をされているわ。
 犯罪共同説から行為共同説への上記批判もまさに、行為共同説を黒く描いておいて、その黒さを批判する弊に陥っているわね、私が見るところ。

流相: そう?

---次回へ続く---

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