憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

「限定承継説」を導くことは難しい・・・【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共同正犯論11

流相: 平成24年決定が「限定承継説」を全面否定した、という評価については今でも争いがあるんじゃないかな?

阪奈: そうかしら?

流相: だって、平成24年決定の千葉補足意見がこう言っているよ。

いわゆる承継的共同正犯において後行者が共同正犯としての責任を負うかどうかについては、強盗、恐喝、詐欺等の罪責を負わせる場合には、共謀加担前の先行者の行為の効果を利用することによって犯罪の結果について因果関係を持ち、犯罪が成立する場合があり得る

流相:と。

阪奈: たしかにね。
 でも、補足意見は、共同正犯の処罰根拠をどう考えているか不明よね?

流相: いや、

・・・行為の効果を利用することによって犯罪の結果について因果関係を持ち・・・

流相:と言っていることからすると、補足意見は、結果との因果性を共同正犯の処罰根拠と捉えていると思うよ。

阪奈: 補足意見が、結果との因果性を考慮していることは分かるわ。
 でも、結果との因果性を有することが、イコール共同正犯であることにはならないでしょ?狭義の共犯だって、結果との因果性を考慮するわけだから。
 何故、効果を利用することが共同正犯として処罰されるのかが不明だと思うわ。
 照沼先生も平成25年度の重判で、

補足意見では強盗罪や詐欺罪、恐喝罪等の場合には最終的な結果との関係で因果性を有すれば足りるという理由から別論であるとされているが、共同正犯としての正犯性を肯定する根拠については示されておらず・・・(照沼亮介『平成25年度 重要判例解説』(有斐閣、2014年)165頁)

阪奈:とされているわ。

流相: う~ん・・・
 でも、謀議に参加する以外に何もしていない背後の共謀者でさえ、共謀共同正犯として罪責を負うんだよ?
 承継的共同正犯では、途中からとはいえ、後行者は、先行者と共謀し行為に加担したのだから共謀共同正犯との比較から言っても後行者には先行者の行為について共同正犯が成立する、としないとおかしい気がするんだよな。

神渡: 私もその感覚はよく分かります。
 でも、共謀共同正犯の場合は、行為の前に共謀が成立しており、その共謀に基づき実行行為がなされていますから、結果の因果的共同惹起を認めることができるのだと思います。
 これに対して、承継的共同正犯の場合、後行者は、既になされた先行者の行為後に加担していますから、先行行為に何らの因果性をどうしても及ぼすことができません。
 共謀が行為の前にあるのか(共謀共同正犯)、共謀が行為の後にあるのか(承継的共同正犯)の違いは大きいのだと思います。

阪奈: そう、そうなのよ、神渡さん!さすがね。
 ということなの、流相!
 分かった?

流相: ま、まぁね。理屈としてはよく分かったけどね。

玄人: 神渡さんや阪奈さんが言ったように、共謀が行為の前にあるのか、共謀が行為の後にあるのか、の違いは大きい。
 これまでに検討してきた共同正犯の処罰根拠

・実行行為の相互利用補充関係に注目する「相互利用補充関係」説
・双方向的な因果性に注目する「法益侵害の共同惹起」説

玄人: いずれの処罰根拠からしても、行為の効果の利用を根拠とする「限定承継説」を導くことは難しいだろうな。
 なんとか処罰したいという気持ちは分かるんだが・・・

 承継的共同正犯はこれで終わることにして、次は、「過失の共同正犯」の分析に入ろうか。

---次回へ続く---

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