憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

”謀議”概念-練馬事件判例を参考に-【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共同正犯論6

流相: だけど、”謀議”ってなんだろう?
 単なる意思疎通や意思連絡を言うんですか?

阪奈: ”謀議”の内容に何を盛り込むかは難しい問題ね。

玄人: そうだな。
 ”謀議”に何を盛り込むかについては様々な議論があってややこしい。
 ただ、ここでは、練馬事件判決を分析しておこう。
 もう一度、練馬事件の規範を言ってみてくれ、流相!

流相: (また、僕~?)
 は、はい。

2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。(最高裁昭和33年5月28年大法廷判決)

玄人: この判例では、”謀議”をどう定義づけている?

流相: ”謀議”とは、

2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする

流相:としています。

玄人: これは、単なる意思の連絡よりも絞り込まれている”謀議”概念だな。

阪奈: そうですね。
 判例百選で、高橋先生もこう書かれています。

本判決は、共謀概念につき、単なる意思疎通・意思連絡ではなく、共同正犯を肯定し得る実質を備えたものと捉えているといえよう。すなわち、共謀とは、共同正犯と評価し得る意思疎通、たとえば、「共同犯行の意識」などの強い結合と解されている。(高橋則夫「共謀共同正犯(1)-練馬事件」山口厚・佐伯仁志編『刑法判例百選総論[第7版]』[2014]153頁)

玄人: そうだな。
 共同性を肯定しうるだけの内容を持つ”謀議”に絞ったということになるだろう。

神渡: しかし、玄人先生、練馬事件は”共謀共同正犯”についての判決でした。
 この判決の”謀議”概念が実行共同正犯の”謀議”にもそのまま当てはまるのでしょうか?

玄人: 良い疑問だ。
 ”共謀共同正犯”と”実行共同正犯”の違いはなんだ?流相!

流相: 実行行為を分担するか否かです。

玄人: 実行行為を分担するか否かで”謀議”概念の内容は変えるべきかどうかが問題になるだろう。
 どう考えるべきか?

流相: 実行行為を分担しない”共謀共同正犯”では、実行行為を分担しないことから、共同正犯者に、より強い結合を求めるべきに思えます。
 だから、”実行共同正犯”の”謀議”よりも絞った内容にすべきでは?と思いますが・・・

阪奈: でも、”共謀共同正犯”だって”共同正犯”だわ。
 そして、”実行共同正犯”だって”共同正犯。
 どちらも”共同正犯”であることに変わりはないわ。
 だったら、”謀議”概念は同じであるべきではないかしら?

玄人: まぁ、どちらでもいいが、実行行為を重視する立場は、流相が言ったような考え方に親和性を感じるだろう。
 逆に、実行行為ではなく因果性を重視する立場であれば、阪奈が言ったような考え方に親和性を感じるだろう。
 どちらでもいいが、ここでは、”謀議”概念は”共謀共同正犯”と”実行共同正犯”とで同じだということにしておこう。
 そうすると、”実行共同正犯”でも練馬事件判決の”謀議”概念を使うことができる。
 で、今一度、共同正犯の判断枠組を確認しておこう。

共同正犯の判断枠組2

玄人:ということだ。
 以後、共同正犯では、この判断枠組に従っていくことになる。

---次回へ続く---

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