憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

共同正犯の成立要件は?-練馬事件判例を参考に-【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共同正犯論5

神渡: どういう場合に、双方向的に因果的影響を及ぼしあったといえるのか?が”共同性”を理解する上でポイントになりそうね。

流相: ・・・
 相変わらず鋭いねぇ。

神渡: ”因果的影響”というのは、心理的・物理的因果性のことですよね?

玄人: そうだ。

神渡: 双方向的に心理的・物理的因果性を及ぼしあえば”共同性”があるということでいいのですか?

玄人: そうなるな。

阪奈: どの程度の因果性が必要となるかがさらに問題となりますね。
 幇助犯成立に必要な”因果性”と共同正犯成立に必要な”共同性”を基礎付けるだけの”因果性”をどう区別するのか?
 ”双方向的な因果的影響”って分かったようで分からない気もします。

流相: 簡単に言うと、
 いいなりじゃない、ってことだろ?

阪奈: ・・・
 たしかに。

流相: ”いいなり”なら幇助
 ”いいなりじゃない”なら共同正犯
 っということで。

神渡: それは分かりやすいわ、流相君!

流相: えっ?
 あ、ありがとう、神渡さん。

玄人: さてと、じゃ、一応今までの議論をまとめておくか。

・実行行為の相互利用補充関係に注目する「相互利用補充関係」説
・(双方向的な)因果性に注目する「法益侵害の共同惹起」説

玄人:ということだ。

神渡

・実行行為を重視する立場
・(双方向的な)因果性を重視する立場

神渡:ということですね。

玄人: そうだな。

神渡: 共同正犯の処罰根拠は分かったのですが、共同正犯の成立要件はどうなりますか?

流相: え?
 共同正犯の処罰根拠と成立根拠は別物?

神渡: 間違いですか?

阪奈: 間違いじゃないわ、神渡さん。
 だって、(狭義の)共犯の処罰根拠と(狭義の)共犯の成立要件は厳密には別だったでしょ?
 だから、処罰根拠と成立要件は別物なの。

流相: あ~、たしかに!
 結果の因果的惹起(因果的共犯論)が(狭義の)共犯の処罰根拠だとしても、結果を因果的に惹起しただけで(狭義の)共犯は成立しなかったからね。
 特に、純粋惹起説はそうだった!処罰根拠は、(狭義の)共犯を処罰するための必要条件に過ぎなかったわけだから。
 じゃ、共同正犯の成立要件は?

神渡: よく、

・”共同実行の事実”
・”共同実行の意思”

神渡: とか書かれているようですけど?

流相: そうだね。
 大塚先生もこう書いている。

共同正犯が成立するためには、二人以上の行為者に、主観的に共同実行の意思(共同加功の意思、意思の連絡)が存することとともに、客観的に共同実行の事実(共同加功の事実、行為の分担)が認められることが必要である。(大塚仁『刑法概説(総論)〔第三版〕』(有斐閣、1997年)276頁)

玄人: 一般的にはそう言われているな。
 でも、ここでは、練馬事件判決から共同正犯の判断枠組を抽出してみよう!
 練馬事件は共謀共同正犯についての判例だが、共謀共同正犯も共同正犯である以上、実行共同正犯にも使える。
 流相!練馬事件のあの有名な規範を言ってみろ!

流相: はい!

2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。(最高裁昭和33年5月28年大法廷判決)

玄人: この部分から、判例の判断枠組を抽出しよう。
 どうだ?流相!

流相: ・・・?

神渡

・共同意思
・謀議
・実行事実

神渡:というキーワードがあります。

玄人: 練馬事件では、これらキーワードを使って、どういう判断枠組を導いていると思う?

阪奈: この規範を読む限り、”共同意思”というのは、”謀議”の内容だと思うわ。
 この”謀議”と”実行行為”が中核の判断枠組になっていると思うの。

玄人: いいねぇ。
 でも、あと一歩だ。
 ”謀議”と”実行”の間に何かないか?

阪奈: ?

神渡: あっ?
 ”よって”ですね。

玄人: そうそう。
 忘れてはならないのが、この”よって”なんだ。
 ”謀議”と”実行”との間に「因果性」があることが必要だということを示すのが、この”よって”という言葉の意味なんだよ。
 練馬事件を簡単にまとめると、共同正犯の判断枠組は、

”謀議”に
”基づく”
”実行”

玄人:ということになるだろう。
 図示するとこういう感じになる。

共同正犯の判断枠組

玄人: これが共同正犯の判断枠組だ。
 さらに正確に言うと、

共同正犯の判断枠組2

玄人:となる。

神渡: 共同正犯の成否はこの判断枠組に従って検討すれば良いんですね。
 なんだか気が楽になってきました。

流相: だけど、”謀議”ってなんだろう?
 単なる意思疎通や意思連絡を言うんですか?

阪奈: ”謀議”の内容に何を盛り込むかは難しい問題ね。

---次回へ続く---

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