憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

重要な因果的寄与+α【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共同正犯論4

玄人: いずれにしろ、「相互利用補充関係説」は、複数人が1つの「実行行為」をしたかどうかを問うという実行行為を中心とした考え方といえる。
 では、「法益侵害の共同惹起」説はどういう考えだ?

流相: え~と、たしか、山口先生はこう書かれています。

構成要件該当事実への重要な因果的寄与による、その実質的共同惹起の存在を基準とすることが妥当である(山口厚『刑法総論[第2版]』(有斐閣、平成19年)323~324頁)

阪奈: つまり、構成要件該当事実に重要な因果的寄与をし、その事実を”共同惹起”したことが共同正犯の処罰根拠というわけですね。

玄人: そうだ。

神渡: ”重要な因果的寄与”をしたかどうかが、”共同惹起”該当性の唯一の判断基準ということですか?

阪奈: 少し違うと思うわ。
山口先生は、こう書かれているもの。

最終的基準は「共同惹起」、すなわち構成要件的結果を共同で惹起した共同者の一員といえるかということである。「重要な因果的寄与」はその重要な判断基準であるにすぎない。なぜなら、教唆は犯意の惹起という意味で極めて「重要な因果的寄与」であるが、だからといって共同正犯となるわけではないからである。(山口・前掲書324頁)

神渡: どういう意味かしら?
 ”重要な因果的寄与”だけが”共同惹起”の判断基準ではない、ということ?

阪奈: おそらくそうでしょうね。
 なぜなら、”重要な因果的寄与”だけが、”共同惹起”の判断基準だとすると、山口先生もおっしゃっているように「教唆」と「共同正犯」の区別がつかなくなるもの。

玄人: 阪奈さんが言ったとおりだ。

最終的基準は「共同惹起」(山口・前掲書324頁)

玄人:だと書かれているから。

神渡: ということは、「共同惹起」したかどうかは、

”重要な因果的寄与”+α=「共同惹起」

神渡:ということですね?

玄人: そういうことになる。

神渡: でしたら、そのαの部分は何でしょうか?

玄人: そこが難しい所なんだ。
 山口先生の基本書では必ずしも明らかではない。

流相: え~~!
 どういう要件を充たせば”共同惹起”があり「共同正犯」となるのかが明らかではないんですか??
 それだと、答案を書けないじゃないですか!!

玄人: たしかに、書きにくいな。

流相: ほらね。
 ということは、「相互利用補充関係説」が受験上は優れた説なんだよ。
 阪奈さんも改説したら?

阪奈: なにそれ(怒)
 たしかに明らかではないかもしれないけど、私調べたんだから。
 結果を”共同惹起”するというのが、この説のポイントで、つまり、”共同性”がキーポイントなの。
 その”共同性”について、

双方向的に因果的影響を及ぼしあうことが必要(金子博「過失犯の共同正犯について」(立命館法学326号、2010年)134頁)

阪奈:と書かれた文献を見つけたわ!
 これだと、「教唆」と「共同正犯」を上手く区別できるはずよ。
 「教唆」の場合は教唆者が被教唆者(正犯者)に働きかけるわけで、正犯者が教唆者に何らかの働きかけをするわけではないから、影響は教唆者から正犯者へ一方通行なわけ。

教唆者☞正犯者

阪奈: でも、双方向的に因果的影響を及ぼしあえば、まさに”共同”して結果を惹起した、といえるわよね。

流相: まぁ、たしかにそうだね。

神渡: ということは、どういう場合に、双方向的に因果的影響を及ぼしあったといえるのか?がポイントになりそうね。

流相: ・・・
 相変わらず鋭いねぇ。

---次回へ続く---

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