憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】憲法(事例問題の解法~審査基準論vs三段階審査論)その4

払猿:これまでの「思考枠組」をまとめてみましょう。
(1)利益状況の確認
(2)保護範囲
(3)違憲審査基準
 ということになりますね。

払猿:なお、三段階審査論では、
(1)保護範囲論
(2)制限
(3)正当化論
 という順序で「思考枠組」を設定するのが一般的ですね。
三段階審査論における(1)保護範囲論は、この講義で検討した(2)保護範囲に対応します。
三段階審査論における(3)正当化論は、この講義で検討した(3)違憲審査基準に対応します。
三段階審査論における(2)制限は、この講義では、(3)の中で制限強度として検討しました。制限の有無については、実はこの講義では(1)利益状況の確認で検討しています。

神渡:先生、この2つの「思考枠組」は順序が違うのですが、意味がある違いなのでしょうか?

払猿:いいところをつきますね。もちろん、意味がある違いです。
この講義で依拠した「思考枠組」は、石川健治先生の主張する「思考枠組」と検討順序は同じです。ただし、石川先生は、(1)利益状況の確認のことを「権利侵害論」として、(3)違憲審査基準のことを「正当化論」としています。この「思考枠組」を刑法に置き換えてみると、
(1)利益状況の確認→行為論
(2)保護範囲→構成要件論
(3)違憲審査基準→違法性阻却論
 となるでしょうね。
石川先生の「思考枠組」は、事実から出発して憲法的論証を展開していくという考えです。
これに対して、三段階審査論は、憲法から出発して憲法的論証を展開していくという考えです。

神渡:どの「思考枠組」を採るかで具体的に違いは出てきますか?

払猿:憲法的論証の展開のし易さという違いはあるでしょうね。

神渡:司法試験受験生が憲法の答案を書きやすくなるということでしょうか?

払猿:受験生的にはそうなりますね。
ただ、石川先生は、事件性(付随的審査制)という訴訟要件の下で裁判をする裁判官を念頭に置いて上記「思考枠組」を主張していると思われます。
まぁ、三段階審査論を主張する先生方も、どこかの段階で事件性を検討されるはずですから、違いはそんなに大きくはないかと思いますが・・・。
私としては、石川先生の「思考枠組」がこれまでの裁判官の思考様式に合致するので妥当かなと思っている次第です。

神渡:わかりました。
ところで、これまでの「権利論」に基づく憲法的論証と「三段階審査論」に基づく憲法的論証とはどこが違うのでしょうか?

阪奈:憲法的論証を三段階に分けてその棲み分けをした点が目新しいように思うのですが・・・

払猿:もちろん、それはあります。これまでは、保護範囲というものを三段階審査論ほど明示してはいなかったと思いますから。
しかし、これまでの議論も、もちろん保護範囲は検討していたのですよ。そうでなければ憲法論は始まらないのですから。ただ、三段階審査論は、その検討を可視化した点に大きな功績があると思います。

阪奈:そうなんですね。では、2つの「思考枠組」に大きな違いはないという理解で良いのでしょうか?

払猿:その理解は間違いでしょうね。2つの「思考枠組」の大きな違いは、(3)にあります。
「審査基準論」vs「比例原則」の対立が一番大きな違いです。

その5へ続く・・・。

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