憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

幇助の因果性【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共犯論22

玄人: う〜ん・・・
 そんな単純な話ではないのだが・・・
 そもそも、因果関係の議論はなんのための議論だったか?

流相: えっ?
 何のため?ですか?
 それは、原因と結果の関係を見出すため・・・

阪奈: 「因果関係」論とは、行為の危険が結果へと現実化したかを問う議論ですから、正犯を見つけ出すための議論です。
 山口先生は、『刑法総論』の初版本の中で、正犯性の問題を因果関係の内部で扱っていました(山口厚『刑法総論』(有斐閣、平成13年)45頁)。

玄人: そうなんだよ。
 今、阪奈さんが言ったように「因果関係」は正犯を見つけ出すための議論なんだ。
 ということは、「因果的共犯論」が幇助行為と結果との間に「因果関係」を要求するとなると、幇助行為は正犯行為ということになる・・・。
 いや、幇助行為の危険が結果へと現実化したとはいえないから、幇助行為と結果との間に「因果関係」を要求するとなると、幇助犯自体が成立しないことになるはずだ。

流相: それはマズイですね。
 因果関係を要求することはできないことになりますか?
 えっ?となると「因果的共犯論」から「幇助の因果性」を議論することはできない・・・?

阪奈: いや、それはないでしょ。
 正犯に要求される因果性と同じ因果関係は不要というだけで、結果発生への影響力というのものは必要になるわよ。

流相: なんか微妙だなぁ。

神渡: でも、「因果的共犯論」は、結果を因果的に惹起することに処罰根拠があるのだから結果発生への何らかの因果性(影響力といえばいいのかしら?)は必要になるわね。

流相: 「影響力」ねぇ・・・
 具体的な基準はどうなるんだろ?

玄人: そもそも「幇助」とは?

流相: 実行行為以外の方法で、正犯を促進する・容易にすることです。

玄人: となると?

神渡: 「影響力」とは正犯を促進する程度であれば良さそうです。

玄人: そうだろうな。
 問題は、「正犯を促進する」という内容なんだ。
 「正犯を促進する」ということについて「不法共犯論」と「因果的共犯論」とで変わってくる。

---次回へ続く---

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