憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

未遂の教唆の故意【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共犯論21

玄人: 「不法共犯論」・「責任共犯論」と「因果的共犯論」で教唆の故意の内容に違いがあるのはどうしてなんだ?

神渡: それはやはり、「共犯の処罰根拠論」にからむと思います。

玄人: そうだな。
 どう絡む?

神渡: 「因果的共犯論」からですと、教唆者には、結果発生の認識が必要になると思います。

玄人: それは何故?

神渡: そもそも「因果的共犯論」は、”正犯を介して結果を因果的に惹起”した点に共犯の処罰根拠を求めます。
 共犯の処罰根拠が”結果の因果的惹起”にある以上、共犯者には結果発生の認識が必要になるはずです。

玄人: そう!
 「因果的共犯論」からは、今、神渡さんが言ったことになる。
 処罰されるには、客観的要件として”結果惹起”が必要になるのであれば、その客観面の認識(主観)が故意として要求される、ということになる。
 では、「不法共犯論」からは?

流相: え〜と、「不法共犯論」とは、”違法な正犯行為の惹起”に共犯の処罰根拠を求める考えでした。
 そうすると、違法な正犯行為を惹起することの認識が共犯者の故意として要求されることになります。

阪奈: 「不法共犯論」は、結果惹起を理由に共犯を処罰するわけではありませんから、結果惹起の認識、つまり結果発生の認識は共犯者には不要ということになります。

玄人: そういうことになる。
どうだ、簡単だろ?

神渡: たしかに、「共犯処罰根拠論」は暗黒界の一筋の光明ですね。

玄人: では、次の論点について検討しよう。
 次は、「幇助の因果性」についてだ。

流相: これは簡単です。
 「因果的共犯論」からは幇助行為と結果発生との間に因果関係が必要になりますが、「不法共犯論」からは、違法な正犯行為との間に因果性が要求されます。

玄人: う〜ん・・・
 そんな単純な話ではないのだが・・・
 そもそも、因果関係の議論はなんのための議論だったか?

---次回へ続く---

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