憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】憲法(事例問題の解法~審査基準論vs三段階審査論)その3

払猿:では、次に行きましょう。
(1)利益侵害状況の確認
(2)憲法上の権利条項の保障範囲(保護範囲)
の後は、どうしましょうか?

流相:違憲審査基準の検討です。

払猿:それでも良いでしょうね。

流相:他に何か検討すべきものがあるのでしょうか?

払猿:それについては、最後にまとめましょう。
では、違憲審査基準をどう決めましょうか?

阪奈:「権利論」の考え方が妥当かと思います。

払猿:「権利論」とは何ですか?

阪奈:それは、権利の性質によって違憲審査基準を導出するという考え方です。

払猿:具体的にはどうなりますか?

阪奈:はい、精神的自由権の制限には厳格な審査基準を、経済的自由権の制限には緩やかな審査基準を用いるという「二重の基準論」が通説的見解だと思います。

払猿:そうですね。
では、さらに聞きます。具体的な審査基準には何がありますか?

流相:「厳格審査基準」、「中間審査基準(LRAの基準)」、「合理性基準」があります。

払猿:そうですね。それぞれの内容は?

流相:「厳格審査基準」とは、立法目的がやむにやまれぬ必要不可欠な公共的利益で、規制手段はその公共的利益の達成に是非とも必要な最小限度のものである場合にのみ合憲とする基準です。
中間審査基準(LRAの基準)」とは、立法目的が重要で、その目的達成のためにより制限的でない他の選びうる手段がない場合にのみ合憲とする基準です。
合理性基準」とは、立法目的とその達成手段が不合理である場合に違憲とする基準です。

阪奈:あと、規制が合理的であるかにつき立法事実に立ち入って判断する「厳格な合理性基準」もあります。

払猿:そうですね。これらの基準の相互関係については後ほど検討しましょう。
ここでは、「二重の基準論」とこれらの「違憲審査基準」との関係を検討しましょう。「二重の基準論」から直ちに「違憲審査基準」が導出されるのでしょうか?

教室内: ・・・

流相:(えっ、導かれないのか?)

払猿:「二重の基準論」とは何でしょうか?

阪奈:それは、精神的自由権と経済的自由権とで審査に厳緩をつける考えです。

払猿:そうですよね。
ここでいう厳緩とは何でしょうか?

阪奈:それは、裁判所が裁判所の立場から審査をするのか、それとも立法府の判断を尊重するのか、という裁判所が審査に望む際のスタンスのことをいいます。これを松井先生は「審査密度」と呼んでおられます。

払猿:そうすると、立法府の判断を尊重するということは何が推定されるのですか?

阪奈:法律の合憲性が推定されます。
とすると、裁判所が裁判所の立場から審査をするというのは、違憲性が推定されるということですね。

払猿:そうです。
実は、「二重の基準論」は、それだけを言っているにすぎません。つまり、精神的自由権を規制する立法には「違憲性の推定」が及び、経済的自由権を規制する立法には「合憲性の推定」が及ぶということを言っているにすぎないのです。
そうすると、「二重の基準論」から直ちに「違憲審査基準」は導かれますか?

流相:いえ、導かれません。

払猿:では、「違憲審査基準」はどこから導くのでしょうか?

教室内: ・・・

払猿:皆さんも芦部先生の本で勉強しているのではないでしょうか?

神渡:規制態様からでしょうか?

払猿:そうですね。規制態様は重要な指標の1つです。
私は、「制限強度」という言葉を用いていますが・・・。
さらに、聞きます。それだけでしょうか?

神渡:すみません、規制態様と制限強度は違い概念なのですか?

払猿:いや、説明不足ですみません。
「規制態様」は、規制する国家側の行為に着目した概念で、「制限強度」は、規制を受ける国民側の不利益に着目した概念です。言っていることは同じですのであまり気にしないでください。

払猿:制限強度以外にもないでしょうか?

流相:(ほかにもあるのかな?)

払猿:たとえば、大きなガラスがあると想像してください。そのガラスに同じ力でパンチをするのですが、ガラスの真ん中にパンチをする場合とガラスの端にパンチをする場合、どちらがガラスへの衝撃は大きいでしょうか?

神渡:それは、ガラスの真ん中へのパンチが衝撃は大きいと思います。

払猿:そうでしょうね。

神渡:あっ、もしかして、保護範囲に含まれるとしても、真ん中で保障されるのか、範囲ぎりぎりでの保障なのかによって違憲審査基準が変わるということなのでしょうか?

払猿:良いですよ。そういうことです。これを私は「保護強度」と呼んでいます。
保護範囲に含まれるとしても、権利条項の核心行為なのか周辺行為なのかで「保護強度」は変わってきます。核心行為の制限の方が周辺行為の制限よりも国民に与える不利益の程度は強いですよね。そういうことです。権利条項の核心行為は「保護強度」が強いのです。
これをまとめると次のようになります。

その4へ続く・・・。

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コメント

  1. こんばんは。
    的確にまとめられており,迷っている学生にも参考になることでしょう。
    教え子たちに,いいブログがあると紹介したい内容です。

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