憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

正犯が先にありきという考えかたではない!【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共犯論15

神渡: ”基本的にはそうなる”というのはどういう意味でしょうか?
 正犯者の実行行為がなくても共犯処罰が可能という意味ですか?

玄人: 結論からいうと、そうなる。
 「純粋惹起説」は、先ほど言ったように、「共犯の処罰根拠」と共犯の「処罰時期」を分ける考え方だ。
 共犯処罰は、正犯に従属するのではなく、共犯行為の処罰の始点を正犯者の行為にかからせるわけだ。
 あくまでも、「純粋惹起説」は共犯行為自体と法益侵害に着目しており、その間にある正犯者の行為は、単に共犯者の処罰時期に関わるにすぎないと理解している。
 他の「共犯処罰根拠論」の学説とは違って、正犯が先にありきという考え方ではないんだ。

流相: そうすると、正犯者の行為が実行行為じゃなくても違法な行為でありさえすれば共犯処罰が可能ということですか?

玄人: そうだ。
 実際に、「純粋惹起説」からは、「一般違法従属性説」という学説も主張されている。
 この学説は、

「正犯」の行為は違法でありさえすれば、構成要件に該当する必要もない、という、最小限従属性説よりさらに従属性の程度を緩和した見解(佐伯仁志『刑法総論の考え方・楽しみ方』(有斐閣、2013年)379頁)

玄人:をいう。

流相: なんか、かなり過激ですね。
 具体的にはどういう帰結になるんですか?

玄人: たとえば、佐伯先生の上記本に書いてある事例は、

公務員が非公務員を使って賄賂を受け取らせた場合(佐伯仁志『刑法総論の考え方・楽しみ方』(有斐閣、2013年)379頁)

玄人:だ。
 公務員をA、賄賂を受け取る非公務員を甲、賄賂を贈る人を乙としてみよう。図示するとこうなる。

乙(贈)→甲(収)A

玄人: この場合、佐伯先生が上記本に書いてある通り、通説は、「身分なき故意ある道具」甲を利用した間接正犯がAに成立すると解している。
 なぜだか分かるか?

流相: 分かります。
 非公務員甲は、賄賂を受け取っていますが、収賄罪は、公務員という身分がある者が犯すことができる身分犯であって、公務員という身分のない甲には収賄罪は成立しません。そのため、甲の背後にいる公務員Aを正犯者とすべく間接正犯の成立を認めるのだと思います。

玄人: そうだ。
 だが、「一般違法従属性説」からだと、こうなる。

---次回へ続く---

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