憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

相違点(「因果的共犯論」vs「不法共犯論」)【対話】司法試験論点分析・”暗黒の章” 共犯論8

神渡: 内容は分かったのですが、その「不法共犯論」は「因果的共犯論」と違うのでしょうか?
 「不法共犯論」も惹起説とか促進説とか呼ばれているとのことなのですが、「因果的共犯論」も別名、「惹起説」と呼ばれていると記憶しているのですが・・・
 違いがあるのかないのかよく分かりません・・・。

流相: う~ん・・・
 たしかに、どちらも惹起説・・・

玄人: この部分が共犯論の中でややこしい部分だろうな。
 「不法共犯論」と「因果的共犯論」はどこが同じでどこが違うのか?
 大塚先生の先ほどの記述をもう一度見てみよう。

共犯者は正犯者の故意を惹起して違法な犯罪行為にいたらせ、またはその援助行為によって違法な正犯行為を促進したと解する(大塚仁『刑法概説(総論)第三版』(有斐閣、1997年)274頁)

玄人:となっている。
 太字の赤い部分に注目だ。

阪奈: 惹起の対象が「不法共犯論」と「因果的共犯論」で違うということですね。

流相: ど、どう違うの?

阪奈: 「因果的共犯論」では、正犯を介するとはいえ、結果を因果的に惹起することが共犯の処罰根拠なのね。つまり、惹起の対象は、「結果(法益侵害)」
 これに対して、「不法共犯論」だと、”正犯者の故意の惹起”や”正犯行為を促進”ということだから、惹起の対象は、「結果(法益侵害)」ではなく、「故意」や「正犯行為促進」ということなの。

神渡: そうなんですね。
 なんかイメージがはっきりしてきました。
 「不法共犯論」は、正犯の”実行行為”をメインターゲットにしていて、「因果的共犯論」は、”結果”をメインターゲットにしているということですね。

阪奈: そうそう!

流相: なんだ、「結果無価値論」VS「行為無価値論」の対立が「共犯の処罰根拠論」に投影された、ということなんだ。

玄人: そう。

神渡: あれ?
 ですが、「不法共犯論」だと、正犯の故意を惹起したり、実行行為を促進することが共犯の処罰根拠となりますが、なんだか、共犯者固有の個人責任ではないような気が・・・

流相: えっ?
 神渡さん、どういう意味?

神渡: つまり、共犯は、正犯から可罰性を借り受けているのではないかな?ということです。

---次回へ続く---

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