憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

住居侵入罪の検討も気が抜けません!【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その24-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

阪奈: じゃ次は、最後。
 乙の罪責を検討しましょう。

流相: はいはい、乙は、甲に無断でAを連れ去ろうと考えて、Aを甲に無断で甲方から連れ去っているから、その無断連れ去り行為に未成年者略取誘拐罪(224条)が成立するのではないかを検討します。
 さて・・・

神渡: あの、途中でごめんなさい。
 乙は甲の夫とはいえ、甲とは別居しています。別居している夫が妻の家に妻に無断で立ち入る行為に住居侵入罪(130条)が成立しないのでしょうか?

阪奈: 神渡さんの言うとおりね。
 まずは、住居侵入罪の検討が時系列的にも先だわ。

流相: 乙は、合い鍵を使って入っているんだから乙に住居侵入罪は成立しないのでは?

神渡: そういう気もするのだけれど、問題文では、乙は甲から

「二度とアパートには来ないで。アパートのカギは置いていって。」

神渡: と言われています。

阪奈: 「侵入」(130条)の意味を確定させるのが先ね。
 「侵入」とは、管理権者の意思に反する立入りとの考えが判例ね。
 だから、管理権者の意思に反する立入りなのかを検討すればいいのよ。

神渡: 甲方の管理権者は誰なのかしら?

流相: えっ?
 乙名義で甲方は借りているから、管理権者は乙なのでは?

阪奈: 甲と乙が仲良く暮らしていた時は、乙も管理権者だったと思うけど、今は乙は甲方を出て行っていてそこには住んでいないわよ。

神渡: しかも、乙が出て行った後は、甲方の家賃は甲が支払っています。
 実質的には、既に乙は管理権者ではなく、甲だけが甲方の管理権者かと・・・

流相: 借主名義という形式と実際に住み家賃を支払っているという実質とがずれているんだね。
 その形式と実質のどちらを優先すればいいんだろう?

阪奈: そのポイントはやっぱり住居侵入罪の保護法益が何かよね。

流相: それは管理権だろ?
 でもそれだとスタートに戻るんじゃないか?管理権者の判断基準を管理権で判断するってわけだから。

阪奈: 違うわよ!
 管理権って何なの?ってことから考えるのよ!
 そもそも管理権って、住居への立入りを誰に認めるかの自由のことよ。
 そこに実際に住んでいる人が、外部から来る訪問者のうち、誰の立入りを認めるのか?というのが管理権なのだから、管理権者というのは、その建物を実質的に管理している人でしょ。
 だから管理権者かどうかは形式ではなく、実質に即して判断すべきなのよ!!

流相: あぁ~、そうか!
 なるほどねぇ・・・
 でも、建物を実質的に管理している人ってどう判断するの?

---次回へ続く---

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