憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

同棲していた丙に、不作為による殺人罪は成立するのだろうか?【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その19-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

玄人: 次は、丙の罪責だ。
 どうなる?

流相: 甲と同棲していた丙の罪責ですね。
 え~と、丙は7月2日昼前に甲が全くAに授乳等をしないことに気づき、甲の意図を察知しました。
 しかし、丙はAに授乳しないのは甲の責任だから、このままにしておこうと考えて、このままではAが確実に死亡することになると思いながらも見て見ぬふりをしています。
 この見て見ぬふりをして、甲に対しAに授乳等をするように言うなどの措置を何ら講じなかった不作為にA殺害についての(不真正不作為犯としての)殺人罪(刑法199条)が成立しないかが問題となります。

玄人: うんうん、行為の切り出しはとても良くできていると思うよ。
 で、どうなる?

流相: 丙に保障人的地位が認められるかがまず問題となります。
 丙は、甲と同棲してから約3週間はAのおむつ交換や入浴などの世話(育児)をしていました。
 しかし、それ以降は、Aのことを疎ましく思って育児を一切しなくなっています。
 3週間ほどAの育児に協力していた丙に<行為の危険性支配>と<因果経過の支配>があるかが問題となると思います。

玄人: どうなる?

流相: たしかに丙は約3週間Aの育児に協力していました。
 しかし、授乳だけは丙がすることはできません。なぜならAは甲の母乳しか受け付けなかったからです。
 甲が授乳をしない限り丙はいかんともしがたい状況だったわけです。
 Aの生命の危険を創り出したのは甲ですし、その危険性を支配していたのも甲であって丙ではありませんから、丙に<行為の危険性支配>は認められないと僕は考えます。

玄人: ということは?

流相: ということは、丙の上記行為に、不真正不作為犯の殺人罪は成立しないということになります。

玄人: うん、それで?

流相: えっ?他に何か?

玄人: いや、丙の検討はもう終り?

流相: あ、まだあります。嘘をついた行為です。

阪奈: ちょっと待って、不真正不作為犯の殺人罪が成立しなくても、不真正不作為犯による殺人幇助(62条1項、199条)が成立しないか検討しないと。

流相: あ、あぁ、そうだったそうだった。

阪奈: 「幇助」を基礎付けるだけの作為義務が丙にあるかの検討が必要です。
 保障人的地位の検討が必要です。

神渡: <行為の危険性支配>と<因果経過の支配>の検討ですか?
 幇助の場合もその基準で良いのですか?

玄人: 良い質問だ!

---次回へ続く---

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