憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

「中止」行為はあるのだろうか?【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その18-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

流相: 甲には殺人未遂罪が成立するということだね。

神渡: ですが、まだ検討すべき点が・・・
 甲は7月3日夕方に、目に見えて衰弱してきたAを見てかわいそうになり、Aを殺害するのをやめようと考え、Aへの授乳を再開しています。
 この甲の行為が中止犯(刑法43条ただし書き)にあたるかもしれません。

流相: そうだったそうだった。
 忘れるところだったよ。
 ありがとう神渡さん。
 「自己の意思により」は問題ないね。そのまま放置することもできたのに、自発的意思で授乳を再開しているわけだから。
 ”できたとしても欲しない”ということだね。

神渡: そうだと思うわ。
 でも「中止した」ことは充たすのかしら?

流相: Aに授乳を再開しているから充たすんじゃないかなぁ?

阪奈: そう?
 そもそも「中止」行為って何?

流相: え~と、結果発生を防止するために必要な行為?

阪奈: そうよね。
 つまりは、生じた結果発生の危険を消滅させる行為のことよね。
 甲がAに授乳した行為は、A死亡結果の危険を消滅させる行為なのかしら?

流相: ん?

神渡: あっ!
 たしか問題文には、授乳等を一切しなくなった時点から、約48時間を超えると、病院で適切な治療を受けさせない限り救命することが不可能となるとあったわ。
 甲がAに授乳を再開したのが7月3日の夕方、甲が授乳等を一切しなくなった時点が7月1日の朝。
 ということは、甲がAに授乳を再開したのは、甲が授乳等を一切しなくなった時点から既に丸2日(48時間)を経過しているわ。
 だから7月3日夕方の時点で甲がAに授乳を再開してもそれだけではもうAの生命を助けることはできないということね。

阪奈: そうなのよ。
 7月3日夕方の時点で甲がAに授乳を再開しても、Aの生命の危険を消滅させることはできない。
 ということは、7月3日夕方に甲がAに授乳を再開した行為は「中止」行為に該当しない・・・

払猿: え~~~?
 でも言われてみればたしかにそうだよ。
 7月3日夕方に、甲に中止犯が成立するためには、甲はAを病院に連れて行かなくてはいけないんだ。それだけがAを救命するための唯一の行為だったんだから。
 あちゃ~、中途半端に仏心を出しても評価されないんだなぁ・・・

阪奈: そうなのよ。
 殺人未遂罪の障害未遂が成立するというわけね。

玄人: 「中止」行為の所は良く気づいたなぁ、良い分析だったぞぉ。
 「中止」行為というのは、何らかの行為をすれば良いという問題ではないからな。発生させた危険を消滅させるだけの行為をしないといけない、ということに要注意だ。
 次は、丙の罪責を検討しよう。

---次回へ続く---

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コメント

  1. 対話式だと素人でも何となく理解できますね。
    実例もわかりやすい。

    それでも難しいですけど(笑)

    通りすがり失礼しましたm(__)m

      • strauss(管理人)
      • 2015年 5月 08日

      コメントありがとうございます。
      わかりやすさを目指しておりますが、まだ難しいのですね。
      イメージを言葉にすることの難しさを日々感じております。

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