憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

甲に行為の危険性支配が認められるか?【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その15-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

流相: さて、どこまで進みましたっけ?

神渡: たしか、不真正不作為犯の実行の着手時期はどの時点なのか?ということだったと思います。

流相: あ~、そうだった。僕が引っかかった点だったね。
え~と、問題文によると、

7月2日昼前には、Aい脱水症状や体力消耗による生命の危険が生じた。

流相:とあるから、7月2日昼前に不真正不作為犯の殺人罪の実行の着手がある、ということになると思う。

阪奈: そうなるわね。

流相: 実行の着手時期を確認した上で、いよいよ、甲に作為義務があるかどうかを検討するんだね?

阪奈: そう。
 甲が「保障人的地位」に立つのかどうか?この判断基準は、(c)排他的支配説によると。

流相: (c)排他的支配説というのは、

不作為者が結果へ至る因果の流れを掌中に収めていたこと、つまり、”因果経過を支配”した者に「保障人的地位」を肯定する見解

流相:だったね。
 この説(基準)のポイントは、”因果経過の支配”という点だよね?

阪奈: そうよ、しかも、(c)排他的支配説は、

<行為の危険性支配>+<因果経過の支配>

阪奈:という2つの”支配”を要求するから、この2つを甲が”支配”していたのかを検討する必要があるというわけね。

神渡: まずは、<行為の危険性支配>が甲に認められるかを検討する必要があります。
 問題文によると、甲はAの母親としてA出産後Aの育児をしていた、とあります。もっとも丙と同棲するようになってからは丙も3週間近く育児に協力していましたが、Aの授乳に関してはもっぱら甲が母乳を与えていた、と書かれてあります。

阪奈: そうね、市販の乳児用ミルクをあげる親も多いと思うけど、Aは市販の乳児用ミルクにはアレルギーがあったようね。
 だから、甲は母乳だけでAを育てていたのね。

神渡: そうすると、Aにとっては、甲の母乳だけがAの栄養源だった、ということです。
 ということは、Aにとっては、甲の母乳だけがAの生命を維持する唯一の栄養源だったということですね。
 そうであるにもかかわらず、甲がAに授乳をしないということは、まさにA死亡結果の危険性を甲が自ら創り出していることを意味すると思います。

流相: たしかにそうだね。
 ということは、甲に<行為の危険性支配>が認められるということだね。

阪奈: まだその結論を出すのは早いんじゃないかしら?

流相: えっ?

阪奈: 甲が自ら創り出した危険性を”支配”したかどうかも検討しないと・・・

---次回へ続く---

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