憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

不真正不作為犯、対立する学説のまとめ 【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その12-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

阪奈: 目的的行為論者でなくても、”因果経過の支配”ということが考えられるのよ。

流相: はぁ?
 なんで?

阪奈: どんな学説でも、因果関係を検討するわよね?

流相: うん。
 既遂と未遂を分ける分水嶺だからね。

阪奈: そもそも、因果関係というものは、既遂に至る因果経過をどの行為が支配していたかを決めるための議論でしょ?

流相: えっと、そうかも・・・

阪奈: ある行為が結果を惹起したときに既遂となるわけだけど、結果を惹起したということは、その行為が結果発生に至る因果経過を支配していたからよね?

流相: あ~、それはそうだね。

阪奈: ということは、既遂の場合、行為者は、行為の危険性を創出(支配)するのに加えて、因果経過も支配しているはずよ。

流相: そうなるね。
 で、未遂の場合は、行為の危険性を支配しているだけで、因果経過の支配はない、ということだね。

阪奈: そうそう。
 その違いが(c)排他的支配説と、単なる(c’)支配説との違いになるのよ。きっと。

神渡: よく分かるわ。
 作為正犯の”既遂”との同価値性を重視すれば、不真正不作為犯処罰を
 

<行為の危険性支配>+<因果経過の支配>

神渡:とする(c)排他的支配説になり、
 既遂・未遂に共通する(作為)”正犯性”との同価値性を重視すれば、不真正不作為犯処罰を

<行為の危険性支配>

神渡:がある場合に肯定する(c’)支配説になるということね?

阪奈: そうなのよ。
 さすが神渡さん!

玄人: うん、良いんじゃないかな。
 学説が分岐するには、キチンとした理由があるんだ。

作為と不作為の存在構造上の違いに注目するのが(a)先行行為説

法益保護に着目したのが(b)具体的依存性説

正犯性に着目したのが(c)排他的支配説と(c’)支配説
⇒正犯”既遂”との同価値性を重視すれば(c)排他的支配説
⇒既遂・未遂を含む”正犯性”との同価値性を重視すれば(c’)支配説

玄人:となるんだ。

神渡: はい!
 よく分かりました。
 理系の理論のように美しいですね。美しい数式のようです。

玄人: 同感!

阪奈: そうね。

流相: 今までどの本にも書かれてなかった・・・

阪奈: それは違うわよ。
 本を注意深く読めば書かれてあるわ。たとえば、山口先生はこう言っているわよ。

保障人的地位の範囲を画する概念・基準として、結果原因の支配という考えを採用することとした。これは、正犯性において採用した理解であり、不作為犯についても正犯性が必要である以上は、当然の帰結であるともいえる。(山口厚『刑法総論[第2版]』(有斐閣、平成19年)第2版へのはしがきⅲ)

流相: え~?
 「はしがき」ですかぁ?
 そこまで読むのぉ?

阪奈: あら?当然のことよ。
 「はしがき」には重要なことが書かれていることが多いのよ。読み飛ばすことなんてとんでもない!!
 山口先生は、[第2版]で、重要な部分を改説されたり、説明を変えた部分があって、そのことについて「はしがき」にその経緯を書かれているから特に重要なのよ。
 本は、「はしがき」から「あとがき」(あればだけど)まで目を通す心意気で読まなくちゃ!
 この「はしがき」によると、”保障人的地位”の範囲を画する概念・基準が、”正犯性”の理解と連動していることがよく分かるでしょ?
 特に、”不作為犯についても正犯性が必要である”という部分を読み落としたらダメね!

玄人: そうだ。
 そこまで読んでくれるとちゃんと学説を理解することができるようになるさ、流相!

神渡: 私、頑張ります!!

玄人: 学説の理解はこれくらいにして、続いて事案の解決に進もうか。

流相: いよいよ、自分が立てた基準(学説)に事案をあてはめる、という作業に入るんですね?

玄人: そういうこと。

---次回へ続く---

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