憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

「保障人的地位」の議論状況 【対話】司法試験論点分析◇刑法過去問講義-その6-◇平成26年度[刑事系科目 第1問]

阪奈: いよいよ「保障人的地位」の解釈に入るわけですね。
 その解釈の際の指標は、”作為との等価値性”、つまり、”行為選択の自由の保障”ということですね?玄人先生!

玄人: そういうこと!
 それがわかっていれば不真正不作為犯は理解したも同じだ。

流相: 学説がたくさんある部分なのでどこまで突っ込んで良いものか?悩むんですが・・・。

玄人: (新)司法試験の過去問を検討する趣旨は?

阪奈: もちろん、「法的枠組みに照らした事実認定」です。
 特に、法的枠組みに照らした”事実認定”の勉強がメインなんですが、”法的枠組み”がしっかりしていないと”事実認定”がぐだぐだになるので、結局、”法的枠組み”の理解にも重点を置かないといけないな、と思い直しました。

玄人: まっ、結局、総合的な勉強ということだな?

流相: 早い話が、そういうことです。

玄人: でもあまり詳しく「保障人的地位」の議論をしても”事実認定”の勉強時間が取れなくなるから必要最小限度の議論に留めるよう努力しよう。

神渡: 玄人先生、お願いいたします。

玄人: 「保障人的地位」の議論では、思考の方向性について大きく2つある。
 もっとも、これは「保障人的地位」に固有の思考ではなく、刑法の解釈の方向性についての争いだから簡単に確認しておくだけにしよう。
 結論から言うと、”形式的思考”と”実質的思考”の対立だ。
 ”形式的犯罪論”と”実質的犯罪論”ということになる。

阪奈: 現在の主流は”実質的犯罪論”ですよね?

玄人: そう言っていいだろうな。
 ”形式的犯罪論”の流れは関西に根強く残ってはいるが・・・な。

流相: 「保障人的地位」の議論でもその対立はありますよね?

玄人: あるが、実質的思考は不可欠となっている。
 今や、たとえば、親という形式的基準だけで「保障人的地位」を認める立場はない。
 親であっても、どういう場合であれば「保障人的地位」に立つのか?という実質的思考が不可欠なんだ。
 ということで、現在の議論は、実質的基準の妥当性を巡った争いになっている。

流相: 判例も含めまして、議論の状況としては、
(1)主観説
(2)多元説
(3)限定説(一元説)
の3つがありますね。

阪奈: さすが、流相、”歩く学説辞典”ね!

流相: えっと、それは褒めているのかい?

阪奈: それは流相の受け取り方次第ね。

流相: なんだそれ!

阪奈: でも、(1)主観説はダメだと思うわ。
 「既発の火力を利用する意思」を要求した大審院の判例があったりするけど、主観というあやふやな要件で不真正不作為犯を処罰することは、徒に処罰範囲を拡張するから妥当ではない、というのが大方の評価ですよね。

玄人: そうだ。
 さすがに主観面を重視することを支持する見解はないといってもいい。

流相: (2)多元説と(3)限定説は、客観的要件で不真正不作為犯の処罰範囲を限定する見解です。
 ただ、(2)多元説は分かりにくいですね。
 多元説だと結局、行き当たりばったりな議論になりそうです。

玄人: 流相が言う懸念はあるな。(1)主観説ほどではないが、処罰範囲が処罰感情により左右される危険性は高くなりそうだ。

流相: 処罰範囲を限定するためには、明確な基準によるべきだと思いますから、僕は(3)限定説(一元説)が妥当かなぁ、と思います。

玄人: 私もその立場だよ。
 問題は、(3)限定説の中で、どう一元的な基準を立てるか?ということになる。

---次回へ続く---

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