憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

『「公権力の主体」該当性の判断基準~国家が強制力を行使するとは?~』 【対話】司法試験論点分析◇行政法過去問講義-その7-◇平成25年度<第2問>

神渡:”国家が強制力を行使する”
とは、どう判断すればいいのでしょうか?
国家が関与する以上、国家の行為はすべて強制力の行使に思えてくるのです。

富公:これもまた当然に持つべき疑問ですね。
しかし、なかなか、その質問をした学生はいませんでしたよ。
少し、突っ込んで検討してみましょう。
先ほどの腕時計売買契約の例で、裁判所が強制力を行使することを確認しましたね。

何故、裁判所が強制力を行使することができるのでしょうか?

流相:う~ん・・・

阪奈:(何故かしら?)

富公:まず、“権利”とは何ですか?

流相:“権利”とは、要求を強制的に実現することができる力です。

富公:これまた露骨な表現ですが、本質はそうですね。
力、パワーなわけです。
この“権利”があれば要求を強制的に実現することができます。
腕時計売買契約の例で言うと、買主は売主に腕時計引渡請求権を持ちますから買主は売主に腕時計をよこせと言えるわけです。
その要求に売主が従わないと裁判所を介して腕時計を買主の下へ持ってくることができます。
それもこれも、買主に腕時計引渡請求があるからです。

では、ここで質問です。
その権利があると契約当事者が言ったことに売主は従わないといけませんか?

流相:いえ、それはないと思います。
そういう主張をすることは自由ですが、その主張は相手が争う限り、そのままでは認められないと思います。

富公:もし、そういった主張が認められるとどうなりますか?

流相:権利があるとかないとか当事者が言い合いをして挙げ句は血みどろの争いが起こると思います。

富公:そうですよね。
まさに、自力救済が原則として否定される理由ですよね。
そこで、権利義務の存否は第三者である裁判所の判断に任せよう、と制度設計がなされたわけですよね。

流相:そうですね。

神渡:当事者が主張したことは単なる事実であって、それがそのまま法的権利になるわけではない、ということですね。

富公:そういうことです。
裁判所が当事者の主張や反論を前提に審理した後に判断をすることによって権利の存否は確定します。
私人(契約当事者)が勝手に権利の存否を一方的に確定することはできません。
そうしますと、

裁判所の判断→→権利の存在確定→→強制的実現可能

という関係が見えてきますね。
このことから、何が分かりましたか?

神渡:裁判所に強制力が認められるのは、権利の存否に関する要件該当性の判断権が裁判所にあるから、ということだと思います。

富公:その通りです。
つまり、権利義務の発生要件(法律要件)の該当性の判断権が裁判所にあるから、あるいは、法律要件該当性の判断主体が裁判所であるから、裁判所は強制力を行使することができるのです。

そうすると?

神渡:行政法でも同じ思考が妥当しそうです。
具体的には、
国家が強制力を行使することができるのは、国家が、法律要件該当性判断の主体だといえる場合だということになります。

富公:そういうことです。
ちなみに、中川先生は、次のようにおっしゃっています。

必ず法律に、誰がその公権的判断を行うのか(つまり主語)が明示されていなければならない(中川丈久「公法訴訟 行政実体法のしくみと訴訟方法」(法学教室370号、2011/7)66頁)。

富公:要は、個別行政法が、法律要件該当性判断の主体として国家を想定しているかどうか?ということです。
国家が法律要件該当性判断の主体である、と明文で規定されていない限り、国家は「公権力の主体」にはあたらない、ということです。

具体的な個別行政法で見てみましょう。

---次回へ続く---

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