憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】司法試験論点分析-判例分析講座~嫡出性の有無による法定相続分差別-終~<憲法>(3)

払猿:“判例の射程”に関わってくる問題がこの判例にはありますね。

先例としての事実上の拘束性について

払猿:という見出しの部分以下がそれです。
この判例では、違憲となる時期について明示しています。
その明示部分(遅くとも平成13年7月当時)をどう理解するかが問題となります。
そもそも、この判示部分が判例といえるのか?という問題もあります。

流相:えっ、何故ですか?

払猿:この事案だけの解決を考えるなら、違憲時期を明示する必要は必ずしも無かったからです。

流相:たしかにそうですね。

払猿:ですが、法的安定性を確保する観点から、最高裁は違憲時期をわざわざ明示しました。
そうしますと、この明示部分も判例と考えるのが適切でしょうね。
ということで、この違憲時期の明示部分の射程をどう考えるか?が問題となります。

神渡:平成13年7月以前の事案にも、この判例が及ぶのか?ということですね。

払猿:そういうことです。

阪奈:この判例では、

遅くとも

阪奈:という文言があります。
民法900条4号ただし書が、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していた、ということは、平成13年7月以前でも900条4号ただし書は違憲だったことを含意しますね。その違憲がどの時点まで遡るのか?が問題となります。

払猿:そうなんです。
難しい判断になります。
この問題について、実は2014年12月2日に最高裁の判断が出されました。
この中で、最高裁は、平成12年5月に発生した相続について非嫡出子(婚外子)の相続分を嫡出子の相続分の半分とする民法900条4号ただし書を適用した2審の判断を妥当としました。

神渡:つまり、平成12年5月時点では民法900条4号ただし書は合憲だったということですか?

払猿:そういうことです。

流相:“遅くとも”ですから、その前でも民法900条4号ただし書が違憲となるようなニュアンスだったのに、1年と2ヶ月前は合憲だったというのも何か解せませんね。

阪奈:どの時点からは違憲で、どの時点までは合憲、という判断は難しいのだと思います。
・ハッキリ違憲という部分
・ハッキリ合憲という部分
・違憲合憲のグレーゾーン
があって、問題はグレーゾーンの切り分け方ですよね。
理屈だけでは決めにくいと思います。

払猿:そういうことだと思います。
この最高裁の判断から、今回検討している2013年(平成25年)9月4日決定の“遅くとも”の射程はどうなりますか?

神渡:平成12年5月時点には、この決定は及ばないことが明確になりました。
ただ、平成12年6月~平成13年6月までの期間ではどうなるか分からないように思います。

払猿:神渡さんの言うとおりでしょうね。

神渡:“判例の射程”は、ある判例の後に出された判例により明確になっていく面があるのですね。
後の判例が出されることで先の判例の射程が明らかになるということは、“判例の射程”を決めるのは後の判例ということなのでしょうか?

払猿:鋭いところを突きますね、神渡さん。
実はそういうことなのだろうと思います。
後の判例が先の判例の射程を決めるのだと思います。

流相:それでしたら、後の裁判所はやり放題にも見えますが・・・

払猿:判例変更があることを見ると、やり放題とはいえないでしょうね。
判例変更があるということは、先例を動かすことができない場合が当然あるからです。

流相:たしかにそうですね。

払猿:嫡出性の有無による法定相続分差別についてはこれくらいで終わりましょう。
次回は、別の判例を分析しましょう。

---嫡出性の有無による法定相続分差別 終---

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