憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】司法試験論点分析-判例分析講座~“判例”とは=裁判理由の中に書かれた一般的法命題~<総論>(1)

上場:さて、今日からこの講義室で、『判例分析講座』が始まります。
今日は
“判例分析の総論”
と題して第1回目の講義を始めたいと思います。
私は、元裁判官の上場(うぇーばー)です。
宜しくお願いします。

流相:お願いしま~す。

阪奈:お願いします。

神渡:お願いします!

上場:さて、早速ですが、
“判例”
とは何でしょうか?

流相:裁判所の判断のことですよね?

上場:広い意味ではそうですね。
ただ、通常、“判例”というと、具体的事案に対する最高裁判所の法的判断のことを言います。

流相:下級裁判所の法的判断は何というのですか?

上場:“裁判例”というのが通常の用法ですね。
この講座でも、
“判例”=最高裁判所の法的判断
“裁判例”=下級裁判所の法的判断
というふうに使っていきますので、気をつけてください。
さて、“判例”はどの部分が判例と扱われるのでしょうか?

阪奈:それは、結論を導くに至った一般的な命題を言うと思います。

流相:うわっ、難しい言い回しですねぇ・・・。

上場:何が“判例”であるかについては、実は議論がありまして、
「結論命題だけを判例とみる立場と、裁判理由の中に書かれた一般的法命題をも判例と考える立場との対立」(中野次雄編『判例とその読み方 改訂版』(有斐閣、2002年)64頁~65頁)があります。
ただ、通常は「裁判理由の中に書かれた一般的法命題をも判例と考える立場」が多いかと思うので、この講座でもそういう立場に立って判例を分析していこうと思います。

流相:(へぇ~、そういう議論もあるんだ!知らなかった)

上場:判例分析で気をつけなければならない点は、判例が具体的事案に対する(最高)裁判所の法的判断という点です。
つまり、(最高)裁判所の法的判断が具体的事案に対して下されているという点です。

流相:??
それは分かりますが、それが何か判例分析に重要な違いをもたらすんでしょうか?

上場:もたらします!
判例の射程
の理解に関わってきます。

神渡:“判例の射程
ですか・・・。

上場:判例分析で一番重要なのは、“判例の射程”の理解です。
実務家は日々、“判例の射程”を意識して仕事をしているのです。
裁判官だけではなく、検察官も弁護士もそうです。
皆さんも実務家になるわけですから、“判例の射程”を理解することがとても重要になります。

神渡:そもそも
判例の射程
とは何でしょうか?

---総論(2)へ続く---

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