憲法・刑法をメイン素材として【論点】を巡る学説を可能な限りシンプルに分析したり、【過去問】の分析などをしてます。 理系からロースクールに入学した女学生・【神渡(カント)さん】と、男性教授・【玄人(クロード)先生】の対話などを主として物語は進みます。 単に学説を分析するだけではなく、その分析結果を過去問や判例の理解にどう活かせるかについても検討する予定です。

【対話】司法試験論点分析-民事訴訟法-過去問講義-8<既判力・平成10年第2問>

流相:じゃ、建物買取請求権を後訴で行使することは前訴確定判決の判断内容と矛盾するということになる。
よって、小問3の建物買取請求権を行使して前訴確定判決の効力を争うことはできない、ということになる・・・?

阪奈:ノンノン!
ここからがこの問題の重要なところなのよ!
建物買取請求の後訴が前訴既判力で遮断されても良いのか?というのが、この小問3の問題でしょ?

上場:判例はどう言っていますか?

流相:結論としては、

借地上に建物を所有する土地の賃借人が、賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結時までに借地法四条二頃(ママ)所定の建物買取請求権を行使しないまま、賃貸人の右請求を認容する判決がされ、同判決が確定した場合であっても、賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができるものと解するのが相当である。

流相:としました。
つまり、建物買取請求権を後訴で主張することができる、ということです。

上場:理由はどうなっていますか?

流相:え~と、たしか・・・(判例集をめくる)

けだし、
(1)建物買買請求権は、前訴確定判決によって確定された賃貸人の建物収去土地明渡請求権の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利とは異なり、これとは別個の制度目的及び原因に基づいて発生する権利であって、賃借人がこれを行使することにより建物の所有権が法律上当然に賃貸人に移転し、その結果として賃借人の建物収去義務が消滅するに至るのである、

(2)したがって、賃借人が前訴の事実審口頭弁論終結時までに建物買取請求権を行使しなかったとしても、実体法上、その事実は同権利の消滅事由に当たるものではなく(最高裁昭和五二年(オ)第二六八号同五二年六月二〇日第二小法廷判決・裁判集民事一二一号六三頁)、訴訟法上も、前訴確定判決の既判力によって同権利の主張が遮断されることはないと解すべきものである、

(3)そうすると、賃借人が前訴の事実訴口頭弁論終結時以後に建物買取請求権を行使したときは、それによって前訴確定判決により確定された賃借人の建物収去義務が消滅し、前訴確定判決はその限度で執行力を失うから、建物買取請求権行使の効果は、民事執行法三五条二項所定の口頭弁論の終結後に生じた異議の事由に該当するものというべきであるからである。

流相:しかし、長いですね。
結局なんて言っているんですかね?

阪奈:えっ?
意味分からないで引用したの?

流相:書かれてある文を読んだだけで・・・

阪奈:(まったく・・・)
早い話が、
(1)は、建物買取請求権が前訴訴訟物たる権利(建物収去土地明渡請求権)の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利ではない、と言っているのよ!
そして、
(2)は、前訴事実審口頭弁論終結時までに建物買取請求権を行使しなかったとしても、この権利の主張は前訴確定判決の既判力で遮断されない、と言っているわけ!
(3)は、この判例の事案が請求異議訴訟であったことから、賃借人による建物買取請求権行使の効果が口頭弁論の終結後に生じた異議の事由に該当するとして、前訴判決で確定された建物収去土地明渡義務のうち、建物収去義務が消滅し、その限度で前訴確定判決は執行力を失う、と判示した部分ね。

流相:なるほどね!

上場:形式的理由と実質的理由に分けてもう少し分析してみましょうか?

---次回へ続く---

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